那覇市にある第一牧志公設市場は、戦後のヤミ市から続く沖縄で最も有名な市場のひとつ。色鮮やかな近海の魚介類やあらゆる豚肉、島野菜など沖縄料理に必要な食材は何でも調達できます。そのちょうど入り口に立つ「松本商店」は、かつお節を中心とした乾物の専門店。
広く一般的に知られているかつお節の「枯節」や、香りの強いかつお節の「荒節」をはじめ、多種多様な品揃えは沖縄ならでは。
一般客はもちろん、沖縄の料理人、料理研究家などの御用達ショップとしても知られている存在です。
お店の方曰く、沖縄では、かつお節を買って自分で削る人は少ないそうで、ほとんどの人がかつお節購入時に店内で削ってもらいます。お店では、削り終わった新鮮な花かつおをその場ですぐに袋詰めにしてくれます。袋詰め1パックは約400gで、かつお節約1本の量。その新鮮さ、香りの良さから、ココでしかかつお節を買わない常連客もたくさんいるそうです。
様々な乾物が並ぶ店先で特に目を引いたのが、本土ではあまり見かけない「かつおのなまり節」。なまり節は半乾燥状態でまだ柔らかく、小さく刻んでポン酢につけて食べると酒の肴に美味なんだとか。沖縄ではかつお節を“だし”としてだけでなく、“食材”としても楽しむ文化を持っているのです。
かつお節といえば、硬い「本枯節」が有名。これはカビ付けを3〜6回も行って熟成させているものですが、沖縄県の人々は、本枯節よりも少し柔らかいかつお節を好むのが特徴です。
しかし、かつお漁と縁の深いここ宮古島の名物である「宮古節」は、カビ付けをする前の「荒節」から表面のタールを削った「裸節」と呼ばれるもの。削ると赤みが強く、生のかつおの香りが残る柔らかい食感です。