お椀にたっぷりのかつお節と味噌を入れ、お湯を注ぐだけ!沖縄の家庭で古くから愛飲されてるというお味噌汁「かちゅー湯」をご存知ですか?かつお節の香りとうま味をダイレクトに楽しめる「かちゅー湯」は、沖縄とかつお節のおいしい関係を象徴しています。
沖縄育ちの祖父母を持つ人なら誰もが知っている味。それがうちな〜んちゅ※の定番「かちゅー湯」です。“かちゅー”とはつまり“かつお”のこと。お椀いっぱいの花かつおに味噌などを加えお湯を注ぐだけ…という簡単なスープです。しかし、かつお節の香りとうま味がダイレクトに伝わってくるその味わいは、一度知ったらヤミツキになるくらいの美味。
かつお節や味噌に含まれるアミノ酸を摂取でき、体を芯から温めてくれるかちゅー湯は、朝ごはんや風邪を引いたときや二日酔いの時に飲む人も多いそう。まさに、かつお節を愛するうちな〜んちゅの知恵が育んだ、知られざる究極のインスタントスープなのです。
※沖縄の方言で「沖縄の人」という意味
家庭にある味噌とかつお節を使って誰でも簡単に作れるかちゅ〜湯。これをもっと美味しく食べるには...... と考えたとき、ネギや卵などの食材をプラスするというのはよくあるやり方。
しかし、本来“滋養の高いエキスを飲むもの”として愛されてきたかちゅ〜湯の真髄は、実はそこではないのです!
味をよくするためにこだわるべき最大のポイントは、基本の味噌とかつお節の選び方。これらをちょっと変えるだけで、味は格段に変わります。
かつてはかつお漁が盛んだったことから、新鮮なかつおを煮たり揚げたり、そのまま食べる機会も多かった沖縄の人々。そんな彼らが好むかつお節は、本土で愛用される本枯節のように長期熟成した硬いものではなく、削ると赤みが残っているくらいの少し柔らかい枯節です。
しかも、柔らかいからこそうま味をしっかり味わえる“厚削り”を好むのが特徴。
沖縄人はとにかくだしを濃くとることを好みますから、より濃厚な味が出る“血合いありの厚削り”を使う人が多いんですね。これは味をよくするだけでなく、血合いヌキのものに比べて鉄分が多く摂れるのもメリット。鉄分は現 代人に不足しがちな栄養分ですから、これも理にかなった選択と言えます。
東北や中部なら塩辛くキレのある 「赤味噌」。九州なら甘くこってりした 「麦味噌」。日本人では、地域ごとに好む味噌の味わいがあります。
「一般的に、かちゅ〜湯に合うと言われているのは、味にクセがない米味噌や少し甘みのある麦味噌。赤だしに使われるような、塩分の強い赤味噌はあまり合わないんです」
そう語るのは、沖縄本島・読谷村に暮らす島袋夫妻。沖縄全域では米味噌の生産が多いそう。濃いかつおだしのうま味を損なわない味噌をチョイスすることで、かちゅ〜湯はもっと美味しくなります。