ニュースリリース

かつお節由来ペプチドの食後血糖値上昇抑制作用の研究が
米国化学会学会誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に掲載

  ヤマキ株式会社(本社:愛媛県伊予市 代表取締役社長:城戸善浩)は、糖尿病予防としてかつお節に含まれるペプチドの効果を科学的に明らかにし、米国化学会学会誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に掲載されました。

「米国化学会」とは

世界最大の学術会議団体、ノーベル化学賞の受賞者の殆どは会員、ASCの食品部門では食品に含まれる成分の安全性と有用性に関する研究が議論されています。特に食品に含まれる化学成分の安心の担保も重要なミッションのひとつです。

「Journal of Agricultural and Food Chemistry」とは

米国化学会(ACS:化学分野の研究を支援する学術専門団体、本拠地はワシントン。1876年設立)の学会誌であり、ACSは、会員数は約163,000人と、科学系学術団体としては世界最大。出版部門では、39誌の学会誌(多くが各分野のトップジャーナルとなっています)、Journal of Agricultural and Food Chemistryは、食品系学術誌の中でもトップクラスのインパクトファクター2019: 4.192と、極めて高い権威を有する学会誌です。

研究発表概要

(1)タイトル名: 
Dipeptidyl peptidase-IV inhibitory activity of Katsuobushi-derived peptides in Caco-2 cell assay and oral glucose tolerance test in ICR mice (かつお節由来DPP IV阻害ペプチドのCaco−2 cellアッセイ及びICR miceを用いた経口糖負荷試験) 
 
(2)発表者: 
関 英治※1, 山本晃久※2, 藤原佳史※1, 山根拓也※3, 薩 秀夫※2, 大久保岩男※4  

※1:ヤマキ株式会社かつお節・だし研究所
※2:前橋工科大学工学部生物工学科食品生理機能工学研究室 
※3: 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科
※4: 市立三笠総合病院 

(3)発表公開日: 
・2020年5月12日 米国化学会学会誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」オンライン版 
https://dx.doi.org/10.1021/acs.jafc.0c01942) 
・2020年6月10日 米国化学会学会誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」本誌 
(2020年68巻6355-6367ページ) 
 
(4)研究内容: 
今回の研究では、ジペプチジルジペプチダーゼIV(DPP IV)活性阻害による血糖上昇抑制作用に注目し、 
かつお節に含まれる高活性な「DPP IV阻害ペプチド」から、18種のペプチド※1をUltra-performance liquid chromatography (UPLC;Waters) より得ました。18種のうち新たに確認されたペプチドは、Glu-Val-Phe、Ala-Val-Phe、およびGly-Val-Pheです。これらペプチドがヒト小腸由来Caco-2 cell アッセイ及びICR mice を用いた経口糖負荷試験によって小腸でDDP IVを阻害し食後の血糖値の上昇を抑制する効果のあることがわかりました。

当社は、「だし活プロジェクト※2」の推進とともに、今後も『鰹節屋・だし屋』として鰹節・だしの「おいしさ」と「健康」に関する研究を進め、人々の健康と豊かな生活に貢献してまいります。

※1 Ser-Trp,Gly-Trp,Gly-Trp,Val-Phe,Trp-Val,Val-Trp,Trp-Tyr,Glu-Val-Phe,Gly-Val-Phe,Ala-Va-Phe,Ile-Phe,Trp-Met,Phe-Leu,Met-Trp,Ile-Trp,Trp-Ile,Leu-Trp,Trp-Leu 
※2 2019年10月に発足した、だしのいいところを再発見してもらうことで、だしを使って料理をする方を増やしていくプロジェクト。