そのまま食べてもおいしい!濃厚なだしが魅力の厚削りの活用術


かつお節を厚く削った「厚削り」をご存じですか?馴染みのない食材に「プロじゃないと扱うのが難しいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。だしで味わうのはもちろんのこと、そのままで食べても、アレンジしてもおいしい「厚削り」。特徴などを詳しく解説し、おすすめのレシピについてもご紹介していきます。

1.厚削りとは?

そもそも「削り節」とは、かつお・さば・まぐろなどの魚の水分が26%以下になるようにいぶして乾かし、削ったものを指し(注1)、かつおのふしを削ったものをかつお削り節といいます。

削り節の削り方にはさまざまな種類があり、このうち日常の料理にもよく用いられる「花かつお」は、厚さ0.2mm以下の「薄削り」に分類されます(注2)。これに対して「厚削り」は、厚さが0.2mmを超えるよう削った削り節を指します(注3)

2.厚削りのだしの取り方

厚削りを使っただしの取り方をご紹介します(注4)

1.鍋に水(1L)を入れ、火にかけて沸騰させる。
2.かつお厚削り(30g)を入れる。
3.ていねいにアクを取りながら中火で10分程度煮立てる。
4.火を止めて、クッキングペーパー等を敷いたザルでこす。

花かつおとのだしの取り方の違いは「煮立てる」か「煮立てない」かにあります。厚削りは10分ほど煮立ててだしを取るのに対し、薄削りである花かつおは、火を止めてからかつお節を加える点で大きく異なります(注4)

薄削りと厚削りは、分量が同じであっても、薄削りのほうが表面積が大きく、かつお節の香りやうま味が水に溶けやすくなるため、煮立てなくてもおいしいだしが取れます(注5)。厚削りのほうがひと手間かかりますが、薄く削られた花かつおから取るだしとはまた違った濃厚な味わいが楽しめます。醤油に負けない濃いだしが取れるので、蕎麦つゆのだしを取るときなどに用いられます。

また、だしを取った後の「だしがら」には、かつお節のうま味や栄養分が残っており、さまざまな料理に使うことができます(注6)

3.だしの特徴と相性がよい料理

厚削りで取っただしは、うま味が強くコクがあり、かつお節の風味をより際立てるので、「麺のつけつゆ」や「味噌汁」などにおすすめです(注4)。一方、花かつおで取っただしは透き通っていて上品な味わいが特徴なので、「すまし汁」や「お吸い物」などにぴったりです(注4)

4.だしだけでなく具としても使える

厚削りはだしを取るだけでなく、食べごたえがあるので「具」としても使うのもおすすめです。特に、パスタや蒸し料理などに使うと、だし感を楽しめる料理に仕上がります。またそのまま具として使うことで、だしがらが出ないことも嬉しいポイントです。また、沖縄地方の家庭で古くから飲まれている「かちゅー湯」に使ってもおすすめです。かちゅー湯は、お椀にたっぷりのかつお節と味噌を入れて、お湯を注ぐだけの簡単汁物料理。かちゅー湯もかつお節を具として食べる汁物なので、食べごたえのある厚削りは、よりかつお節感を楽しめます(注7)

5.そのまま食べる

うま味たっぷりの厚削りは、噛めば噛むほどに風味がふわっと広がるので、火を通さずにそのまま食べるのもおすすめです。また、耐熱皿に厚削り20gを広げ、ラップをかけずに電子レンジ600Wで30~40秒温めるだけでパリパリ食感になり、風味も際立ってさらにおいしくなります(注8)

6.まとめ

厚削りは時間をかけてじっくり煮出すことで、コクやうま味の強い濃厚なだしが取れますし、そのまま食べてもおいしいので、使い道のバリエーションも豊富。試してみると厚削りの味わいに病みつきになること間違いなしです。ぜひこの機会に、厚削りを食卓へ取り入れてみてください。

この記事の監修者

荒井名南(あらい めいな)

管理栄養士、フードスペシャリスト、健康食育ジュニアマスター、離乳食アドバイザー

保育園での給食運営や食育指導を経て、「親子のしあわせごはん」をテーマに食育やアレルギー食に関する執筆・監修、中心のレシピ提案などを行う。