家にあるものでできる!即席みそ汁「かちゅー湯」の魅力

沖縄の家庭で古くから愛飲されている郷土料理「かちゅー湯」。たっぷりのかつお節と味噌にお湯を注ぐだけというシンプルな料理で、忙しい毎日でも手軽に楽しめる一品です。かちゅー湯が生まれた背景には、沖縄の漁業や食文化が深く関わっています。かちゅー湯がどのようにして生まれ、愛され続けてきたのかを探りながら、アレンジのコツやおすすめレシピもご紹介していきます。

1.「かちゅー湯」は即席みそ汁?

かちゅー湯は、沖縄の伝統的な家庭料理のひとつ。たっぷりのかつお節と味噌にお湯を注ぐだけでできる「即席みそ汁」です(注1)

「かちゅー」とは「カツオ」のことを指します(注2)。令和5年度の調査によると沖縄のかつお節消費量は全国1位で、その消費量は全国平均の約2.5倍にもなります(注3)。地元のスーパーには一般的な花かつおのほか、血合いがあるものやないもの、厚削りなど数多くの種類が並んでおり、沖縄県民のかつお節好きが見てとれます(注4)

2.「かちゅー湯」が愛されるようになった理由

沖縄でかつお節が愛されるようになった理由のひとつに、沖縄における漁業の歴史があります。1800年代後半、糸満の漁師が「アギヤー」という追い込み漁を開発し、これが宮古諸島を含む離島に伝わりました(注5)

その後、アギヤーを活かしたカツオ漁が始まり、池間島や伊良部島でもカツオ漁が行われるように。さらに1900年代になると、かつお節製造も始まりました。このとき宮古諸島では、カツオ漁によって生計を立て、子どもたちを養えるようになった方も多かったのです(注5)

こういった経緯から、カツオは神様同然という声も。特に「池間民族」と呼ばれる西原・池間・佐良浜の人々には、特にこのような文化が根付いており、毎年9月に「ミャークヅツ」という渡り島の神様に感謝を捧げるお祭りも行われています(注5)

3.かちゅー湯の魅力に迫る!

沖縄のカツオ漁の歴史がわかったところで、いよいよ、かちゅー湯の具体的な魅力を見ていきましょう。かつお節のうま味がダイレクトに感じられ、温かい汁を飲むことで体を温めてくれるので、沖縄では日常的に食べられています(注2)

かちゅー湯の魅力は、なんといってもその手軽さ。作り方が簡単なので、ご家庭でも、沖縄の味を簡単に楽しめます。朝ごはんや風邪を引いたとき、二日酔いのときにもおすすめです(注2)。調味料や具材、かつお節の種類などを変えてアレンジも楽しめますし(注2)、お椀に材料を入れてお湯を注ぐだけなので、洗い物が少なく済むのもうれしいポイントです。
作り方は、お椀に味噌(大さじ1/2)と、かつお節(6g)を入れ、熱湯を注ぐだけ。味噌をよく溶かしたら出来上がり!かつお節からだしが出るので、体に染み渡るおいしさが味わえます。

4.かちゅー湯はアレンジ無限大!

家にある食材でできる簡単即席みそ汁なので、アレンジを知っておくと飽きずに楽しめます。ここでは、かちゅー湯のアレンジをご紹介していきましょう。

・厚削りを使う
食べ応えをアップさせたいときや、よりかつお節感を楽しみたいときには、厚削りを選ぶのがおすすめです(注6)

・冷たくする

暑い日やさっぱりと食べたいときにぴったりなのが「冷やしかちゅー湯」です。少量のお湯で味噌を溶き、氷水を加えてのばして作ります(注7)

・常備してある食材を使う
梅干し・卵・納豆・ごま・もずく・バターなど、ご家庭にストックしてある食材をサッと加えるだけで、簡単にバリエーションが増やせます(注8)

・調味料を変える

かちゅー湯は味噌で作るのが一般的ですが、しょうゆやめんつゆに変えてもおいしく食べることができます(注9)

簡単だからこそアレンジは自由自在。具材は入れずにシンプルにしても、冷蔵庫にある食材や自分好みの具材を入れても、手軽に楽しめるかちゅー湯。ぜひ日常の食生活にかちゅー湯を取り入れてみてくださいね。

この記事の監修者

荒井名南(あらい めいな)

管理栄養士、フードスペシャリスト、健康食育ジュニアマスター、離乳食アドバイザー

保育園での給食運営や食育指導を経て、「親子のしあわせごはん」をテーマに食育やアレルギー食に関する執筆・監修、中心のレシピ提案などを行う。