2024/10/30
大根の葉や皮まで無駄なく「エコ・クッキング」!活用術やレシピもご紹介
まだ食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」。
工夫することでエコにつながる一石二鳥のエコ・クッキングをして、「食品ロス」を減らしてみませんか。
普段から捨ててしまいがちな野菜の皮やくずの中から、大根の葉や皮を無駄なくいただくコツをご紹介します。
1.「エコ・クッキング」って?
「エコ・クッキング」とは、環境に配慮した食生活を営むこと。食べ物や水などの資源を大切に使い、ごみを減らすことを一人ひとりが意識し、社会全体の「省エネ」につなげるというものです(注1)。
これに対し、まだ食べられるにもかかわらず、廃棄される食品のことを「食品ロス」といいます。令和4(2022)年度の食品ロス量は472万トン(注2)といわれ、これは国民一人あたり、毎日お茶碗約1杯分(約103g)(注2)にあたります。
また、食品ロスの約半分は「家庭から出されるもの」といわれ(注3)、その内訳として多くを占めるのが「調理くず」です。中でも、「野菜や果物の皮やくず」がその多くを占めています(注4)。
「調理くず」に次いで多いのが「食べ残しです」。これは「手つかずの食品」や「作りすぎ」によるものが多くを占めています(注4)。これらの問題点を解決できるよう、ここでは「エコ・クッキング実現のコツ」を、3つの視点から見ていきましょう。
・買い物
食べ残しやごみの量を減らすために、在庫を確認して必要な量だけ購入したり、簡易包装のものを選んだりしてごみを減らしていきましょう。旬な食材や地元の食材を選び、地産地消を意識すれば、食材を運ぶためのエネルギーを削減にもつながります(注1)。
・料理
調理の際に出るくずをできるだけ捨てず。食べ残しをしないよう意識してみましょう。ゆでたり焼いたりするときは、複数の食材を一度に調理するなど、段取りを考えて料理し、使用する器具や洗い物を少なくすることも大切です(注1)。
・片付け
汚れた水をきれいにするためのエネルギーを削減できるよう、油汚れの食器を重ねない、汚れを拭き取ってから洗う、米のとぎ汁やゆで汁を洗い物に利用する、といった工夫も取り入れてみてください(注1)。
料理におけるポイントに「食材を捨てない」とありますが、前述のように野菜の皮やくず、芯などが捨てられている現状があります。みなさんのご家庭でも、大根の葉・人参の皮・キャベツの芯など、食べられる部分を捨ててしまっていませんか?
2.大根の葉の活用術
ここでは、捨ててしまいがちな大根の葉や皮にフォーカスし、使い切るための活用術をご紹介します。
・葉までおいしい新鮮な大根の選び方
葉つきの大根を選ぶとき、鮮度の目安になるのは「葉」(注5)。茎から葉先までピンと張っており、みずみずしく、皮の表面が白くハリがあるものがおすすめです(注5)。根を2分の1などにカットされている場合は、断面がみずみずしいか、また鬆(す:すかすかした部分)が入っていないかをチェックしてみましょう(注5,6)。
・大根の栄養素
大根は、根の部分と葉の部分で含まれている成分が異なり、以下のような栄養素が含まれています(注6)。
・カロテン:粘膜を正常に保つ・感染症の予防(葉)
・カルシウム:丈夫な骨の形成(葉)
・鉄:鉄欠乏性貧血の予防(葉)
・アミラーゼ(酵素):胃腸の働きを助ける(根)
・葉酸:細胞の新生や赤血球の生成(葉・根)
・ビタミンC:強い抗酸化作用によって有害な活性酸素から細胞を守る(葉・根)
・カリウム:ナトリウムの排泄を促す(葉・根)
・食物繊維:腸内環境を改善する(葉・根)
大根の「皮つき」と「皮なし」の栄養素を比較したとき、100gあたり「皮つき」の方が食物繊維は0.1g、ビタミンCは1mg多く含まれています。微量ではあるものの、皮も食べる方が食物繊維やビタミンCを無駄なく摂取できることがわかります(注6)。
・大根の葉や皮の調理法
大根の葉に含まれる栄養素は、油を使うことにより吸収率が高まるため、炒め物に適しています(注6)。たとえば、大根の葉をサッとゆでて水気を絞り、ごま油で炒めてみそや砂糖で調味する、富山県の郷土料理「よごし」のような食べ方もよいでしょう(注7)。また細かく刻んで塩もみした「浅漬け」もおすすめです(注8)。
皮はせん切りにしてごま油で炒め、砂糖やしょうゆで甘辛く味付けし「きんぴら」にするとおいしく食べることができます(注8)。もっと簡単に調理したいときは、めんつゆで味付けするのもおすすめです(注9)。
・保存方法
大根は、葉に水分を取られるため、すぐに根と葉に分けるのがポイントです。切り落とした葉は、固ゆでにして冷蔵または冷凍保存するのがおすすめです。根の部分は乾燥しないようにラップで包んだり、袋に入れたりして、野菜室に立てておきましょう(注6)。
3.大根の葉をかつお節でもっとおいしく!
大根の葉は、苦味があるのも特徴のひとつ。もちろん、苦味を楽しむのもよいのですが、水にさらしたりサッとゆでたりしてアク抜きするのもおすすめです。「かつお節」を一緒に使えば、うま味や香りが加わることで、よりおいしく食べられるだけでなく、苦味も和らげてくれるのでより食べやすくなります(注10)。
サッとかけるだけの「かつお節」を活用するのもよいですが、エコ・クッキングの観点から、だしを取った後の「だしがら」を使うのもおすすめです。だしがらには、かつお節のうま味成分や栄養素が残っているので(注11)、大根の葉と上手に組み合わせて味わってみてください。
この記事の監修者
荒井名南(あらい めいな)
管理栄養士、フードスペシャリスト、健康食育ジュニアマスター、離乳食アドバイザー
保育園での給食運営や食育指導を経て、「親子のしあわせごはん」をテーマに食育やアレルギー食に関する執筆・監修、中心のレシピ提案などを行う。
脚注:
注1)農林水産省「エコ・クッキング的省エネ&節電のススメ」(農林水産省)
注2)消費者庁「食品ロスについて知る・学ぶ」(消費者庁)
注3)農林水産省「令和4年度の事業系食品ロス量が削減目標を達成!」(農林水産省)
注4)農林水産省「食品ロス削減に向けて」(農林水産省)
注5)農畜産業振興機構「だいこんの話」(農畜産業振興機構)
注6)農畜産業振興機構「今月の野菜」(農畜産業振興機構)
注7)農林水産省「うちの郷土料理」(農林水産省)
注8)農林水産省「特集 野菜をもっと食べよう」(農林水産省)
注9)農林水産省「大根の皮のめんつゆ炒め」(農林水産省)
注10)かつお節プラス「かつお節大百科 活用編」(ヤマキ)
注11)かつお節プラス「だし取りからだしがらまで。料理のレパートリーも増えるかつお節の楽しみ方!」(ヤマキ)
(全て参照 2024.10.09)