栄養バランスの良い食事って?1日の献立の考え方

忙しい毎日の中で、食事の献立を考えることに大変さを感じている方が多いようです。
また、時短・手軽さを求める一方で、食事の栄養バランスが気になるのではないでしょうか。

今回は、1日の栄養バランスが整う献立作りの考え方についてお伝えします。

1.栄養バランスが良い食事とは?

栄養バランスが良い食事とは、心身ともに健康に過ごすために必要なエネルギーや栄養素を過不足なくとれるものを指します。
一般的に男性は女性よりも多くのエネルギー、栄養素をとる必要があるなど、1日にとりたい各栄養素の量は、年齢や性別などによって異なります。よって、厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準」には、年齢、性別に対してどのくらいエネルギーや栄養素をとれば良いのかが具体的に目安となる数値で記されています(注1)
お子さんの場合は、成長に必要な分もとらなくてはならないため、体の大きさに対して意外と多くのエネルギー、栄養素を必要とすることがわかっています。

しかし、各栄養素の数値を計算しながら毎日の食事バランスを管理するのは大変なことです。そこで、栄養バランスの良い献立を組み立てるためにおすすめしたいのが、「主食」「副菜」「主菜」といった料理ベースの考え方です(注2)
それに加え、日本人の食生活で特に不足に気をつけたい栄養素と、とりすぎに気をつけたい栄養素を把握して、日々の食生活の中で意識をすると良いでしょう。

2.栄養バランスが整う!1日の献立の考え方

1日に「何を」「どれだけ」食べたらいいかをわかりやすくコマのイラストを用いて示したのが、厚生労働省と農林水産省が策定した「食事バランスガイド」です。この食事バランスガイドでは毎日の食事を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つの料理グループに区分し、区分ごとに「つ(SV※)」という単位を用いて1日の目安が示されています(注3)
※SV(サービング)とは、食事の提供量(一食分として食べる量)のこと。食品の種類、食材の調理の仕方によって異なります。

「食事バランスガイド」の図の中には、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」それぞれの1サービングの目安が記されています。例えば、「主食」1つ(SV)は、ごはんの場合ならお茶碗小盛り1杯、おにぎりなら1個、食パンの場合なら1枚、ロールパンの場合なら2個となります。
まず「主食」「副菜」「主菜」の3つを基本に献立を考え、それに加えて「乳製品」「果物」を、間食を含めた1日のどこかのタイミングでプラスしていきましょう。

「食事バランスガイド」を活用する際に知っておきたいことは、1日のサービング(SV)数が、年齢、性別、身体活動量によって異なるということです。
運動量が「低い」に該当するのは、1日中座っていることがほとんどの人で、該当しない場合は「ふつう以上」となります。成人(18~69歳)男性、女性、幼児(3〜5歳)のそれぞれで1日のサービング数は次の通りです(注2,3)

※強い運動や労働を行っている人は、さらに多くのエネルギーを必要とするので、適宜調整が必要です。
※「食事バランスガイド」は健康な人が対象です。糖尿病や高血圧などで医師や管理栄養士の指導を受けている人は、そちらの指示に従ってください。
※妊娠や授乳している人は、適量が異なります(注1)

3.特に不足に気をつけたい栄養素は?

日々の生活の中で不足しやすい傾向がある栄養素の中で、特に気をつけたいものとしては、食物繊維、カルシウム、鉄です(注1,4)
食物繊維は、肥満、生活習慣病の予防に重要な役割を担っている栄養素で、植物性の食品全般に含まれています(注5)
カルシウムは、骨や歯の構成成分になるため、お子さんの成長にも欠かせない栄養素の1つです。成人でも、特に女性は更年期以降の骨粗鬆症のリスクを下げるために不足しないようにすることが大切です(注6)

鉄は、全身に酸素を運ぶ役割を担っている、血液中の赤血球のヘモグロビンを主に構成する栄養素であるため、不足により貧血の症状が出るなど不調をきたす原因となります。特に、月経のある女性は不足のリスクが高まるため、日々の食生活で意識をしてとりたい栄養素の1つです(注7)

4.とりすぎに気をつけたい栄養素は?

一方、とりすぎること(過剰摂取)により健康被害を及ぼすことが明らかになっている栄養素があります。近年、特に注目を集めているのは、飽和脂肪酸と食塩(ナトリウム)(注1)で、これらは生活習慣病予防のために、お子さんの頃からとりすぎに気をつけたい栄養素です。

■飽和脂肪酸
乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸をとりすぎると、血液がドロドロになり、脂質異常症を引き起こす原因になります。また、悪化すると、動脈硬化を促進させてしまいます(注8)
飽和脂肪酸は、肉の脂身(赤身ではなく白い部分。バラ肉、ひき肉、鶏肉の皮も含む)・バターやラード・生クリームなどに多く含まれます。パームヤシやカカオの油脂、インスタントラーメンなど加工食品にも含まれています(注9)

■食塩(ナトリウム)
塩分のとりすぎは、高血圧の原因になることが明らかにされています。WHOでは成人の食塩摂取量として1日5g未満を推奨していますが、この摂取量に抑えることは私たち日本人にとって簡単なことではありません。厚生労働省では、当面目標とすべき1日の食塩摂取量は成人男女で各々7.5g未満と6.5g未満と策定していますが、令和元年の「国民・健康栄養調査」の結果によると男女ともに平均2g程度(濃口しょうゆに換算すると小さじ2杯強に相当)上回っている状況です(注4)

5.かつお節で、おいしさと栄養をちょい足し!

栄養バランスのとれた献立をさらにおいしく、そして栄養もプラスされた食事にするにはかつお節がおすすめです。火を使わずに使用できるかつお節は、出来上がった料理の上にそのままかけるだけで栄養をちょい足しできます。不足しがちな鉄分やたんぱく質の補給に貢献してくれるだけでなく、うま味成分が料理をおいしくしてくれるというメリットも。
使い切りやすい小袋のかつおパックだとおうちでの食事だけでなく、お弁当や職場での昼食、外出先での食事の際にも使えるのも嬉しいですよね。お出かけの際にもカバンに入れておき、活用してみてはいかがでしょう?

6.【管理栄養士が提案】かつお節で栄養ちょい足し(※)!栄養バランスのいい献立

※ここで言う栄養は、たんぱく質、9種類の必須アミノ酸をはじめ、ビタミンB群のうちB1・B2・B6・B12、鉄分、DHAを指します。

かつお節は「主食」「副菜」「主菜」の全てに活用できる優れもの!例えば、お好みの野菜と炒めたりあえたりするだけで簡単に1品作ることができます。

実際に「主食」「主菜」「副菜」の3つを基本に1日の献立を考えると、どのようになるのでしょうか?お子さんも喜ぶ、栄養バランスの良い献立の具体例をご紹介します。

 
【朝食】
主食+主菜:卵かけご飯+納豆
副菜:具だくさん味噌汁

▼ポイント
主食と主菜をお茶碗1杯の中で手軽にとれる朝食の定番の組み合わせです。さらに、たんぱく質を含む納豆を「卵かけご飯」と一緒に食べると主菜をもう1つプラスすることができます。味噌汁に、野菜やきのこ、海藻、大豆製品をたっぷり入れると、栄養バランスUPに大きく貢献してくれるのでおすすめです。

▼おすすめレシピ

 
【昼食】
主食+副菜+主菜:カレー丼ぶり
乳製品:牛乳またはヨーグルト

▼ポイント
丼ものメニューは、使う食品の組み合わせ次第で1皿で「主食」「副菜」「主菜」を補える手軽さが魅力です。たっぷりの野菜と、肉または大豆製品を組み合わせたカレーに、1日のどこかでとりたい乳製品をプラスしています。

▼おすすめレシピ

 
【夕食】
主食:ご飯
主菜:ハンバーグ
副菜:ツナコーンサラダ
果物:みかんやりんごなど旬のフルーツ

▼ポイント
ハンバーグで使うひき肉は、なるべく脂が少ない赤身の多い部位を選ぶと、飽和脂肪酸を減らせて健康的です。お子さんが食べづらい野菜を細かく刻んでハンバーグに混ぜても良いですね。

▼おすすめレシピ

7.まとめ

献立を1日単位で考えるのが大変であれば、数日〜1週間の中で調整しながら考えてもいいですね。
食事の役割は栄養補給の目的だけではないため、おいしいものを食べて食事を楽しむことも心の健康のために大切です。日々の生活の中で、常に細かく栄養バランスを気にしすぎてしまうとかえってストレスになり、食事が楽しめなくなってしまいますので、すぐにできそうなことから少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

藤橋ひとみ

株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役、管理栄養士

大手食品メーカー開発職、ベンチャー企業にてマーケティング・商品企画・広報業務を経験後、フリーランスの管理栄養士として独立。商品開発コンサルティング、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得に向けて栄養疫学研究を行っている。
HP:https://is-food-health-labo.com/