知っておきたい!そうめんの特徴とお手軽アレンジ術

夏の風物詩であるそうめんは、のどごしが良く、さっぱりとした味わいが特徴で、暑い季節にぴったりな食べ物です。手軽に調理でき、サラダそうめんやぶっかけそうめんなど、さまざまなアレンジが楽しめます。この記事では、そうめんの特徴に加えて、かつお節を取り入れたアレンジレシピもご紹介します。

1.そうめんとは?

麺類は、麺の太さによって分類されます。そうめんは長径が1.3mm未満と定義されており、うどんやひやむぎより細いものを指します(注1)。そうめん、ひやむぎ、うどん、それぞれ原材料は小麦・塩・水を混ぜて作られたもので、ほとんど変わりありません。

2.手延べ・機械製そうめん

そうめんには製法によって、「手延べそうめん」と「機械製そうめん」の2つの種類に分けられます。
「手延べそうめん」は、小麦粉に食塩や水を混ぜ、生地に食用植物油を塗りながら手作業で細く引き延ばし、その後乾燥させます。一方、「機械製そうめん」は、小麦粉に食塩や水を混ぜ、生地をローラーで薄く伸ばし、切り刃で細く切ってから乾燥させます。

商品による違いはありますが、そうめんの長径が1.3mm未満と定義されている一方、手延べによるそうめんは長径が1.7mm未満であれば「手延べそうめん」として認められ、のどごしや歯ごたえがあります。また、「機械製そうめん」は、「手延べそうめん」に比べて手頃な価格で販売されています(注2)

3.そうめんの保存方法

そうめんは、常温で保存可能です。密閉された袋や容器に入れ、風通しの良い冷暗所に保存し、賞味期限内に食べ切るようにしましょう(注3)

4.各地のそうめんの特徴を見てみよう!

さまざまな地域で作られるそうめんには、それぞれ独自の製法や歴史があります。ここでは、代表的な手延べそうめんの特徴をご紹介します。

・三輪そうめん(奈良県)
三輪そうめんは、奈良盆地で寒冷な冬に生産されます。製造工程は1〜2日かかり、特に「ウマシ」と呼ばれる熟成工程を何度もはさむのが特徴的です。この工程により、適度に水分が飛び、のどごしが良く、茹で伸びが起きにくいそうめんが出来上がります。約1200年前、三輪にある大神神社の宮司の息子が小麦を栽培し、これを麺に加工したことが、三輪そうめんの起源とされています(注4)

・小豆島そうめん(香川県)
地元の言い伝えによると1598年、小豆島に初めてそうめんが伝わりました。島民が伊勢神宮(現在の三重県)への参拝から戻る際に、現在の奈良県の三輪地区で製麺技術を学び、帰島したと言われています。このそうめんは冬に製造され、冷たい瀬戸内海の風の中で、切って伸ばしたそうめんを広い空の下の棚で乾燥させるのが伝統です。小豆島はごま油の生産地でもあり、生産工程では必ずごま油を使用することが規定されています(注5)

・播州そうめん(兵庫県)
播州地方のそうめんは「揖保の糸」として知られ、室町時代に起源を持ち、江戸時代に本格的に製造されました。播州は小麦、揖保川の清流、赤穂の塩というそうめん作りに必要な条件を備えており、揖保乃糸は播州地方の伝統産業として栄えました。そうめんの特徴としては、コシがあり歯切れが良く、茹で伸びしにくいという点が挙げられます(注6,7)。また、兵庫県は手延べそうめんの主要生産地であり、平成21年度の「米麦加工食品生産動向調査」では、生産量で全国一位を誇っています(注8)

・島原そうめん(長崎県)
長崎県も手延べそうめんの重要な生産地で、平成21年度「米麦加工食品生産動向調査」では、兵庫県に次ぐ地位を占めました(注8)。島原半島の雲仙岳のふもとから湧き出る豊富な水と温暖な気候が、そうめん作りに適しており、熟練した職人の技術によって美しい絹糸のようなそうめんが生み出されます。製法は、江戸時代初期の「島原の乱」後、小豆島から移住した職人が広めたとの説や、1562年の口之津(くちのつ)港の開港により、南蛮文化や中国文化の影響を受け、福州(福建省)から伝わったという説があります(注9)

<豆知識 ~三大そうめんについて~>
中でも、香川県の「小豆島そうめん」、兵庫県の播州そうめん「揖保乃糸」、奈良県の「三輪そうめん」は、その品質や歴史から日本三大そうめんとして知られています(注10)

5.そうめんつゆの特徴

そうめんを食べるときに欠かせないのが、「めんつゆ」です。めんつゆは、かつお節や昆布、しいたけなどから抽出しただしに、醤油、砂糖、みりんなどを加えて作られますが、一般的には、そうめん、そば、うどんと比較するとそば用、うどん用、そうめん用の順で甘味が強くなります(注11)

6.そうめんのバリエーションが広がる、薬味の存在

そうめんの楽しさを広げる一翼を担うのが、さまざまな薬味の存在です。さわやかな風味や独特の辛みが、そうめんのバリエーションを豊かに彩ります。お好みのめんつゆを選ぶだけでなく、ぜひ、これらの薬味を取り入れて楽しんでみると良いでしょう。

  • 長ねぎ:食べる直前に刻むことで風味が一層豊かになります。
  • 七味唐がらし:ピリリとした辛みと香りが特徴です。
  • かつお節:めんつゆのベースとしてだけでなく、トッピングとしても重宝。香りとうま味でそうめんに深みを与えます。
  • しょうが:さわやかな香りと辛みが、食欲を刺激します。
  • わさび:わさび特有のツーンとした辛さが、アクセントになります。
  • 青じそ:さわやかな香りが、料理を引き立てます。
  • みょうが:爽やかな香りと程よい辛みがあり、そうめんとの相性も抜群です。

この記事の監修者

横川仁美

食と健康・美容を繋ぐ「smile I you」代表
管理栄養士×お味噌汁レシピ研究家

管理栄養士を取得後、保健指導や重症化予防、ダイエットサポート、電話相談のカウンセリング等を通して、のべ2000人の方の食のアドバイスに携わる。
現在は、コラム執筆・監修、レシピ作成、オンラインでのダイエットカウンセリングを中心に活動。目の前の人の「今」、そして「これから」を大切にした食の提案を目指している。HP: https://yokokawa-hitomi.com/