2025/09/30
茶碗蒸しのおすすめ具材は?作り方や茶碗蒸しの郷土料理を紹介
茶碗蒸しの具材といえば、鶏肉、かまぼこ、えび、しいたけ、三つ葉などが定番です。しかし、地域によっては、うどんや栗など特色ある具材が用いられ、郷土料理としても親しまれています。お子さま向けには、コーン・枝豆・チーズなどを入れると喜んでくれるかもしれません。人気の具材のほか、かつおだしを使用した基本的なレシピや、電子レンジで簡単に作れる方法をご紹介しているので、ぜひご自宅で茶碗蒸しを作ってみてください。
1. 茶碗蒸しとは?
茶碗蒸しとは日本の伝統的な料理で、だしの入った卵液に具を入れ、蒸し固めて作ります(注1)。和食における調理法のひとつである「蒸す」という方法は、沸騰したお湯の水蒸気を利用して加熱するもので、その代表的な料理です(注2,3)。
なめらかな食感が特徴的で、具材には鶏肉、えび、しいたけ、銀杏(ぎんなん)など、さまざまな食材が使われ、だしと具材の調和を楽しむことができます(注4)。

また、大阪府では「小田巻き蒸し(おだまきむし)」として、卵が高級品だった時代にハレの日の料理として愛されてきました(注5)。また、長崎県では茶碗蒸しの魅力にひかれた四国伊代藩士が、「蒸し寿司※」と一緒に茶碗蒸しを出すなど、日本各地で「郷土料理」として発展してきました(注6,7)。
※すし飯に細かく切った具材を混ぜ込んだ「バラ寿司」を蒸したもの
2. 茶碗蒸しの基本
<「だし」は冷ましてから>
おいしい茶碗蒸しを作るには、おいしいだしが欠かせません(注8)。かつおだしを取ってすぐ使用すると熱で卵が固まってしまうので、粗熱を取ってから卵と合わせましょう。500mLの水にかつお節15gを目安に鍋でだしを取るのも良いですが、小人数分や簡単にだしを取りたいときは耐熱性のマグカップに170mlの水と5gのかつお節を入れ、レンジ(500W)で1、2分加熱すると簡単に取ることができます。
<蒸すときは温度に注意>
茶碗蒸しをなめらかな食感に仕上げるには、温度調節が重要です。高温で加熱するとだし汁が沸騰して「す」という泡のような小さな穴があき、固い食感になってしまいます。ごく弱火でゆっくり加熱するのがおいしく作るコツです。また、卵黄と卵白は固まるまでの時間が異なるので、卵液をこして、よく混ぜた状態で蒸すと、なめらかな食感に仕上がります(注9)。
<具材を入れる順番>
具材を茶碗などに入れるときは、見せたい具材を最後に入れるのがポイントです。先に鶏肉やかまぼこ、次にえびや三つ葉、というように入れると、彩りがきれいに仕上がります(注9)。また、まいたけのように、たんぱく質を分解する酵素が含まれている食材を使うと卵液が固まりにくくなるため注意しましょう。

<蒸し器がないとき>
蒸し器がない場合は、フライパンや鍋、電子レンジなどを使って作ることもできます(注9)。フライパンを使うときは、熱が伝わりやすく「す」が入りやすいため、底にキッチンペーパーをしいて水を入れてから器を並べるのがおすすめです(注8)。また電子レンジを使用する際は、ラップをふんわりとかけ、電子レンジ(500W)で3分間加熱+余熱で火を通すと簡単に作ることができます。
参考)鰹節屋・だし屋が教える 電子レンジとマグカップで作る方法
3. 茶碗蒸しのおすすめ具材とは?
茶碗蒸しの具材には、以下のようなものがあります。
■定番具材
・えび
・鶏もも肉
・鶏ささみ
・かまぼこ
・銀杏
・三つ葉
・しいたけ
・しめじ
・ほうれん草
・ゆり根
・たけのこなど(注8)
■変わり種具材
・うどん
・あなご
・じゃがいも
・ごぼう
・こんにゃく
・はんぺん
・ねぎなど(注5.10)
定番の鶏肉は、鶏もも肉を使うとジュワッとジューシーな味わいに、鶏ささみを使うとあっさり、さっぱりした仕上がりになります。好みに応じて食材を選んでみてください。
三つ葉は苦手なお子さまが多いため、大人の茶碗蒸しには三つ葉、お子さまにはほうれん草と分けて入れたり、お子さまの分だけ、三つ葉抜きにしたりすると良さそうです。
普段と違った食材でアレンジしたい時や、お子さま向けの茶碗蒸しを作るときは、甘みのあるコーン・枝豆・ちくわ・魚肉ソーセージなどもおすすめです。
ヤマキ社員のおすすめ茶碗蒸しの具材ランキング
茶碗蒸しのおいしさを引き立てるのは、だしとともにバラエティ豊かな具材も欠かせませんよね。そこで、鰹節屋・だし屋であるヤマキの社員に、おすすめの具材を聞いてみました。

皆さんのおすすめ具材ランキングにほぼ入っている定番の鶏肉は、だしと合わさり、ジューシーさが味わえます。また、餅は変わり種ですが、角切りにして器のそこにくっつかないように他の具材の上にしてから蒸すのがおすすめだそうです。加えて、ランキングには入りませんでしたが、カニ風味かまぼこも彩りがいいのでおすすめという声も上がりました。ぜひ参考にしてみてください。
4. 茶碗蒸しを使った郷土料理
茶碗蒸しは、郷土料理としても親しまれています。
<小田巻き蒸し>
大阪発祥の「小田巻き蒸し」は、茶碗蒸しにうどんを加えた食べごたえのある郷土料理です。えびや、かまぼこなど彩りの良い食材を使っており、冠婚葬祭や新年のおもてなし料理としても重宝されています(注5)。

<栗の甘露煮が入った茶碗蒸し>
北海道では、正月料理のひとつとして栗の甘露煮を入れた茶碗蒸しが親しまれています。甘みが特徴的で、茶碗ではなく、どんぶりのような大きめの器で作ります(注11)。
<春雨茶碗蒸し>
鳥取県西部の茶碗蒸しには、春雨が入っていることが多いです。卵が高級な時代に、春雨を入れてかさ増ししたという説があります(注12)。
ひと言に茶碗蒸しと言っても、地域によって具材に特徴があります。うどんや栗、春雨などを入れることで満足感がアップしますね。
5. アレンジ茶碗蒸し
いつもの茶碗蒸しも具材を変えるなど、ひと工夫することで新しい一品になります。
<洋風茶碗蒸し>
和風のイメージが強い茶碗蒸しですが、実は洋風の具材を加えると、ひと味違ったおかずにもなります。チーズ、ベーコン、トマトなどは、相性もよくおすすめです(注13)。

<あんかけ茶碗蒸し>
茶碗蒸しにとろとろのあんかけをかけたアレンジです。あんかけにはきのこなどの食材がおすすめです(注14)。
<冷やし茶碗蒸し>
暑い日には、冷やし茶碗蒸しがおすすめです。つるんとした食感の茶碗蒸しを冷やすと、とても食べやすくなります。茶碗蒸しを作ってから粗熱を取り、冷蔵庫で冷やせば完成です(注15)。
茶碗蒸しは、作り方のポイントを押さえれば家庭でも楽しめる料理です。また、具材を変えてアレンジ自在なのも魅力。ぜひ食卓に茶碗蒸しを取り入れてみてください。
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この記事の監修者
荒井名南(あらい めいな)
管理栄養士、フードスペシャリスト、健康食育ジュニアマスター、離乳食アドバイザー
保育園での給食運営や食育指導を経て、「親子のしあわせごはん」をテーマに食育やアレルギー食に関する執筆・監修、中心のレシピ提案などを行う。
参考文献:
注1) 農林水産省「次世代につなぐ和食文化」(農林水産省)
注2) 農林水産省「日本人の伝統的な食文化」(農林水産省)
注3) 農林水産省「和食ワールドチャレンジ 農林水産省主催」(農林水産省)
注4) 一般社団法人 日本惣菜協会「茶碗蒸し」(日本惣菜協会)
注5) 農林水産省「うちの郷土料理 小田巻き蒸し」(農林水産省)
注6) 農林水産省「うちの郷土料理 ばらずし」(農林水産省)
注7) 郷土料理ものがたり「茶碗蒸し・蒸し寿司」(郷土料理ものがたり)
注8) 農林水産省「JAPANESE CUISINE 茶碗蒸し」(農林水産省)
注9) ヤマキ「簡単でおいしい茶碗蒸しを作ろう!」(ヤマキ株式会社)
注10) 長崎市「茶碗蒸し」(長崎市ウェブサイト 水産農林政策課)
注11) 郷土料理ものがたり「どんぶりに入った茶碗蒸し」(郷土料理ものがたり)
注12) 郷土料理ものがたり「春雨茶わん蒸し」(郷土料理ものがたり)
注13) ヤマキおいしいレシピ「とろりんチーズとトマトの茶碗蒸し」(ヤマキ株式会社)
注14) ヤマキおいしいレシピ「鶏ときのこのあんかけ茶碗蒸し」(ヤマキ株式会社)
注15) ヤマキおいしいレシピ「やさしい甘みの冷製コーン茶碗蒸し」(ヤマキ株式会社)
(全て参照:2025.09.30)