普通の玉ねぎと新玉ねぎの使い分け!管理栄養士が味や栄養の違いを解説!

玉ねぎは、和洋中どんな料理にもよく合い、私たちにとって身近で手に取りやすい食材です。そんな玉ねぎには、普通の玉ねぎと春に旬を迎える新玉ねぎがありますが、どのような違いがあるのでしょう。それぞれの味の特徴や見分け方、栄養素を無駄なく取れるよう、使い分けのコツを管理栄養士が解説しました。それぞれの玉ねぎの特徴を活かしながら、かつお節をプラスしたレシピもご紹介しています。

1. 普通の玉ねぎと新玉ねぎの違い

普通の玉ねぎと新玉ねぎを比べると、収穫から出荷までの流れや見た目の違い、味や食感、保存の仕方に違いがあります。

・普通の玉ねぎと新玉ねぎの見分け方
収穫後、普通の玉ねぎは天日干しなどで表皮を乾燥させるため、皮の色が茶色に変化します(注1)。一方、新玉ねぎは収穫後早い段階で出荷され、水分を多く含むため、皮は薄く柔らかいのが特徴で一般に白っぽい色をしています(注2,3,4)

・味や食感の違い
普通の玉ねぎは、辛味を強く感じるという特徴があります。一方、新玉ねぎは辛味が控えめで、水分を多く含んでおり、食感が柔らかいのが特徴で、サラダなどの生食に向いています(注2)

・おすすめの保存方法
普通の玉ねぎは保存性が高く、風通しの良い涼しい場所であれば長期保存が可能です。新玉ねぎは水分を多く含むため、冷蔵庫の野菜室で保存し、短期間で消費するように心がけましょう(注4)

2. 管理栄養士が教える使い分けのコツ

普通の玉ねぎは加熱調理によって独特な辛味を抑えることで、新玉ねぎなら生食でも、おいしく召し上がることができます。玉ねぎに含まれる辛味成分である硫化アリル(アリシン)は避けられがちですが、血液凝固を抑える作用や、ビタミンB1の吸収を助けて疲労回復などをサポートする大切な栄養素です(注4)。そのため、普通の玉ねぎと新玉ねぎの特徴を踏まえて調理法を工夫したり、相性の良い食材を組み合わせたりしながら効率的に栄養素を摂取していきましょう。

・普通の玉ねぎの特徴とおすすめの調理法
普通の玉ねぎは、水分量が多い新玉ねぎと比べて辛味を強く感じますが、辛味成分である硫化アリルは水溶性なのでスライスして水にさらすことで辛味は和らぎます(注5)。また、玉ねぎは長時間加熱することでアミノ酸と糖が反応してあめ色に色づきます。その過程で特徴的な甘い風味が増し、香りが豊かになるという特徴があります(注6,7)。煮込み料理や、炒め物で食べるのがおすすめです(注6)

・新玉ねぎの特徴とおすすめの調理法
新玉ねぎは水分を多く含み、食感も柔らかく、辛味が少ないため生食がおすすめです。
サラダやマリネ、甘酢に漬けてピクルスなどにするのも良いでしょう(注3)

一般的に玉ねぎの辛味を抜く工程である「水にさらす」ことで、玉ねぎに含まれる水溶性のビタミンが流れてしまいます(注3)。新玉ねぎを水にさらさず生食で食べることは、栄養素を無駄にしないという点でも非常に理に適った食べ方といえるでしょう。

・ビタミンB1を含む食材と組み合わせて食べよう
糖質の代謝に関わるビタミンB1は、玉ねぎの辛味成分と結びつくことで、吸収率が高まるといわれています(注4)。豚肉の脂身の少ない部位(もも・ヒレなど)や加工肉(ハム・ソーセージなど)、うなぎや鮭などの魚類、いくら・たらこなどの魚卵やアーモンド、玄米などを組み合わせて食べてみてください(注8)

3. 玉ねぎは“西洋のかつお節”?

日本の和食においてかつお節やだしが欠かせないように、玉ねぎは西洋料理のベースには欠かすことのできない食材です。さらに玉ねぎにはうま味成分のグルタミン酸が含まれており、かつお節にもうま味成分であるイノシン酸が含まれています(注9)。そういった共通点から、玉ねぎは「西洋のかつお節」と呼ばれています(注5)

イノシン酸を含むかつお節と、グルタミン酸を含む玉ねぎは、かけ合わせるとうま味の相乗効果がおきるため相性がいい食材です。普通の玉ねぎはじっくりと炒めて甘みを引き出し、かつお節を混ぜ込んだハンバーグなどに(注10)。新玉ねぎは生のままサラダなどにして、かつお節をふわっと乗せていただくのがおすすめです(注11)。さらに、玉ねぎと豚肉、かつお節を合わせた豚しゃぶサラダなどは、玉ねぎとかつお節を組み合わせることでうま味が一層増します。かつお節と豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれており、玉ねぎと合わせることで吸収率をさらに高める効果も期待できます(注4)

手に取りやすく、身近な食材である玉ねぎ。種類によって異なる特性を理解し、料理に応じて上手に使い分けていきましょう。かつお節を合わせて、うま味の相乗効果が期待できるアレンジレシピも、ぜひ試してみてください。

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この記事の監修者

松浦 ひとみ(まつうら ひとみ)

管理栄養士・食生活アドバイザー・栄養教諭

保育園栄養士として献立作成・離乳食・アレルギー対応等を経験。現在は独立し、個別食事指導・記事監修/執筆・メニュー開発等、幅広く活動中。