関東と関西のおにぎりの違い、知ってる?
個性的なご当地おにぎりもご紹介!

日本各地には独自の味付けや食材を使ったご当地おにぎりがあります。地域の特色や文化を感じながら、おにぎりを通じて日本の多彩な食文化に触れてみませんか?

関東と関西のおにぎりの違い、おうちで簡単に作れるおにぎりレシピもご紹介します。

1.関東と関西のおにぎりの違い

最近ではコンビニなどで見かける三角形のおにぎりが一般的ですが、かつては地域ごとに独自の形が存在していました。
関東では、徳川家康が全国支配のために江戸と各地を結ぶ五街道を整備した際、持ち運びやすい三角形のおにぎりが広まったといわれています。
一方、関西では味付け海苔が使われ、その巻きやすさから俵形のおにぎりが普及したそうです(注1)

2.北から南まで、日本の食文化を味わおう!ご当地おにぎり8選

日本の食文化は地域ごとに多彩な特色があり、おにぎりも例外ではありません。北海道の鮭山漬けおにぎりから沖縄のポーク玉子おにぎりまで、各地ならではの味わいを楽しむことができます。

【北海道】
鮭山漬けおにぎり(北海道)
北海道では開拓時代から鮭が親しまれ、保存食の一つとして鮭山漬け(さけやまづけ)があります。内臓を取り除いた鮭に塩をすりこみ、重しをして数日間漬け、適度に水分が抜けることでうま味が残ります。ご飯と混ぜて、いくらの醤油漬けをトッピングしたおにぎりは北海道ならではの味わいです(注2)

【東北】
おみ漬けのおにぎり(山形県)
山形県には「青菜(せいさい)」という高菜の一種の漬物があります。おみ漬けは、この青菜の小さな葉と大根やにんじんを細かく刻んで漬けたものです。近江(おうみ:現在の滋賀県)の商人が山形に行商で訪れた際、畑に捨てられていた青菜のくず葉を刻んで漬けたのが始まりで、その後、そのおいしさが山形の人々にも広まり、作られるようになったといわれています(注3)

【関東】
アサリの佃煮おにぎり(東京都)
江戸時代から伝わる東京の名産品、佃煮。佃島(現在の中央区佃周辺)にちなんで生まれ、江戸幕府開府時に徳川家康が摂津国の佃村から漁師を移住させたことで漁業の中心的な場所となりました。濃厚な調味料で煮付けられた佃煮は、お茶漬けやおにぎりの定番具材です(注4)

しょぼろ納豆おにぎり(茨城県)
水戸市では江戸時代から、早生小粒の大豆を使った納豆づくりが盛んでした。しょぼろ(そぼろ)納豆は、秋に収穫した大豆で納豆を作り、余った納豆を長期間保存できるように、割り干し(切干)大根を加えて塩や醤油などで漬け込んだ伝統食です。手順が簡単なため、現在でも一般的に作られています。なお、「しょぼろ」は「そぼろ」の方言です(注5)

【中部】
けんさ焼きおにぎり(新潟県)
「けんさ焼き」は、おにぎりにしょうが味噌や甘味噌をぬって焼いた新潟の郷土料理です。名前の由来は上杉謙信が戦時に冷めたおむすびを剣先に刺して焼いて食べたことから来ているといわれています。お茶漬けや夜食としても親しまれていたそうです。また、「けんさ焼き」は「けんさん焼き」や「けんしん焼き」、「けんさし焼き」とも呼ばれます(注6)

【近畿】
天むす(三重県)
「天むす」は名古屋が発祥地とされがちですが、実は三重県津市の「千寿本店」がその起源です。昭和30年代初め、天ぷら定食屋を営んでいた初代が、まかないとして作り始めたとされています。その後、評判を呼び商品化され、そのおいしさが名古屋へと伝わり、手土産の一つとして全国的に広まったとされています(注2)

【九州】
かしわおにぎり(福岡県)
九州北部では古くから鶏肉を「かしわ」と呼びます。また、鶏肉やごぼう、にんじんなどの具材を煮詰めたものを混ぜた料理は「かしわめし」と呼ばれ、福岡の郷土料理の一つです。祭りや運動会などの行事や特別な日によく食べられ、駅弁としても親しまれています。もちもちとしたかしわめしの食感は冷めてもおいしく、おにぎりとしても食べられています(注7)

【沖縄】
ポーク玉子おにぎり(沖縄県)
沖縄の食文化には、1945年の太平洋戦争終結から1972年までのアメリカの統治期間が大きな影響を与えました。その一例が、沖縄に駐留する米軍兵が持ち込んだ塩漬けの豚肉をミンチにして缶詰にしたポークランチョンミートを使用した料理です。特にポーク玉子おにぎりは、その代表的なものです。厚切りのポークを焼き、玉子焼きと一緒にご飯に乗せたり挟んだりします(注3)

3.千葉県は、かつお節(おかか)を使ったご当地おにぎりも!

太平洋に面した千葉県は、古くからかつお節の生産が行われてきました。また、醤油の生産も盛んであり、削り節と醤油をご飯に混ぜ、お好みで海苔を巻いたおかかおにぎり(醤油めしおにぎり)が家庭料理として根付いています(注2)

4.宮崎県の伝統料理、新鮮なカツオで作るおにぎり「こなます」とは?

宮崎県では、日向灘(ひゅうがなだ)沖はカツオの宝庫であり、カツオ1本釣りの漁に出かけた漁師たちは、とれたての魚を細かく切って塩なますにし、昼食として食べていました。その後、残った塩なますは、ご飯とこねておにぎりにし、動力船の熾火(おきび:着火した薪や炭が炎を出さずに燃えている状態)の灰の中で蒸し焼きにして持ち帰ったとされています。このおにぎりは「こなます」と呼ばれ、その名前の由来はさまざまですが、「こねまわすから」という説があります。新鮮なカツオで作った「こなます」は、臭みがなく、魚のうま味がしみ込んだもちもちとしたご飯と、香ばしい焼きたての香りが特徴です(注8)

5.まとめ

おにぎりは時代とともに進化し、お米と相性が良ければどんな具材でも楽しめるのが魅力です。最近では、海苔の上にご飯を広げ、具材を置き、四隅からご飯ごと海苔をたたむように四角く折って作るにぎらないおにぎり「おにぎらず」が人気になりました(注9)。さらに、パリでも日本の「おにぎり」がブームとなり、サーモン×アボカドやクリームチーズ×生ハムなど、パリならではの食材を合わせた「パリおにぎり」が注目され、おにぎり専門店がいくつもできているそうです。ぜひ、さまざまなおにぎりを堪能して、その地域の食文化や新たな味を楽しんでみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

横川仁美

食と健康・美容を繋ぐ「smile I you」代表
管理栄養士×お味噌汁レシピ研究家

管理栄養士を取得後、保健指導や重症化予防、ダイエットサポート、電話相談のカウンセリング等を通して、のべ2000人の方の食のアドバイスに携わる。
現在は、コラム執筆・監修、レシピ作成、オンラインでのダイエットカウンセリングを中心に活動。目の前の人の「今」、そして「これから」を大切にした食の提案を目指している。HP:https://yokokawa-hitomi.com