米粉を使うと何が違う?かつお節で米粉をもっと楽しもう!

近年、グルテンフリーの需要が高まり、米粉が注目されています(注1)。スーパーやコンビニでも米粉を使ったパンやクッキーが増えていますが、実は米粉は古くから日本で親しまれてきた食材です。

米粉は昔から和菓子などに使われてきましたが、現在ではパンやケーキ、麺類など、さまざまな食品に利用されるようになりました。これは粉を細かくできる製粉技術の進歩によるもので、以前とは異なる特長を持っています(注2)

この記事では、昔と現在の米粉の違いに加えて、米粉をさらに楽しむための方法としてかつお節がおすすめの理由とそのレシピをご紹介します。

1.米粉って?

米粉(こめこ)は、お米を細かく砕いて粉末にしたものです(注3)。日本での米粉の利用は奈良時代に始まり、遣唐使が唐の文化を伝えた際に、小麦粉や米粉を使った煎餅や環餅(まがり)などの唐菓子が伝わったのがきっかけといわれています。この唐菓子の移入以降、穀物を加工した日本の菓子が始まりました。江戸時代には茶道の発展とともに、日本独自の和菓子が広まり、その主原料として米をはじめとする穀物の粉が重要視されてきました(注4)

2.米粉の種類いろいろ

米粉は主に「うるち米」や「もち米」から作られます。代表的なものとして、「上新粉(じょうしんこ)」や「もち粉」などがあります(注5)

上新粉
うるち米を水洗いし、生乾きの状態で製粉してから乾燥させたものです。別名として「しん粉」や「米粉」などとも呼ばれます。
用途: だんご、かしわ餅、草餅など

もち粉
もち米から作られ、製法は上新粉と同様です。
用途: 大福餅、求肥、しるこなど

白玉粉
もち米を洗った後、半日から1日ほど水に漬けて水切りし、水を加えながら摩砕して作られます。
用途: 白玉だんご、求肥、大福餅、しるこなど

道明寺粉
蒸煮したもち米を乾燥させて干飯にし、それを粗く砕いたものです。
用途: 桜餅、つばき餅、おはぎなど

みじん粉
もち米またはうるち米を蒸煮後、乾燥させ焙煎して製粉したものです。
用途: 玉あられ、桜餅、おこしなど

●現在の米粉は昔とどう違う!?加工技術の進歩で用途が広がった米粉!

製粉技術の進歩により、最近の米粉は昔とは異なります。以前は主に和菓子や米菓に使用されていましたが、より細かく粉砕できるようになったことで、ケーキやクッキーなどの洋菓子やパンなど、さまざまな食品に利用されるようになりました(注2)

3.米粉と小麦粉の違いには、どんなところがある?

米粉と小麦粉の違いの一つは、小麦粉には「グルテン(グリアジンやグルテニン)」というたんぱく質が含まれているのに対し、米粉には含まれていない点です。

グルテンはパンの生地に粘りや弾力を与え、パン作りには欠かせない役割を果たしますが、部の人にとってアレルギーの原因となることがあります。そのため、グルテンを含まない米粉は「ノングルテン・グルテンフリー食材」として注目されています(注3)

●「ノングルテン」と「グルテンフリー」の違いって?

「ノングルテン」と「グルテンフリー」の表示にも注目が集まっています。米粉のノングルテン表示の基準は、世界最高水準の検査法を用いて、米粉中のグルテン濃度を1ppm以下と定めています。これにより、「ノングルテン米粉」は一般的なグルテンフリー表示20ppmよりもさらに厳しい基準を満たした商品となります(注6)
※グルテンフリーは欧米の基準であり、日本にはグルテンフリーの表示に関する制度はありません。

<注意!米粉製品による小麦アレルギー>
一部の米粉製品には、グルテンや小麦を含む原材料が使用されている場合があります。小麦アレルギーの方は、商品パッケージの原材料などをよく確認するようにしましょう(注7)

詳しくは消費者庁の情報をご確認ください。
米粉製品による小麦アレルギーに気を付けましょう!
出典:消費者庁ウェブサイト

●栄養素の違いも!?健康な体づくりに必要なアミノ酸スコアの違い

米粉と小麦粉の違いは、グルテンの有無だけではありません。たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成され、そのうち9つは体内で生成できない必須アミノ酸です。この必須アミノ酸をバランスよく含むたんぱく質は「良質なたんぱく質」と呼ばれます。

また、必須アミノ酸がバランス良く含まれるかどうかは、“アミノ酸スコア”でわかります。アミノ酸スコアが100に近いほど、良質なたんぱく質であり、体内で効率よく利用できるとされています(注8)。米のアミノ酸スコアは65で、小麦は41とされています(注2)

4.料理で活きる!米粉の3つの特長!

米粉には、料理の幅を広げる上でも見逃せない利点があります(注2,3,9)

●手軽で扱いやすい
米粉は油分が少なく、サラサラとした粉質なので、ダマになりにくく、粉をふるう手間が省けるメリットがあります。また、グルテンが含まれていないため、パン作りではこねる工程を省くことができます。

●低吸油でヘルシー
米粉の油吸収率は21%と、小麦粉の38%に比べて低いため(※)、揚げ物に使用すると冷めてもサクサク感が長続きします。
※鶏もも肉を揚げた時の衣の油吸収率

●さまざまな食感が楽しめる
米粉は小麦粉を使う料理の代替品として適しており、大根もちや蒸しパンに使えばもっちり、ナゲットに使えばサクサク、シチューに使えばとろ~りとした食感が楽しめます。

5.米粉とかつお節を組み合わせてさらにおいしく!

米粉とかつお節を組み合わせることで、料理のバリエーションがさらに広がります。かつお節にはうま味成分の「イノシン酸」が含まれ、米粉には、「グルタミン酸」が含まれています。「イノシン酸」と「グルタミン酸」が組み合わせることでうま味の相乗効果が生まれるため、米粉料理にかつお節を加えるとおいしさがアップします(注10,11)

さらに、米粉特有の食感も楽しむことができます。例えば、大根もちに米粉を使うともっちりした生地にかつお節の風味が加わります。ナゲットにも米粉を使用すれば、サクサクした食感が楽しめ、かつお節の風味も相まって風味豊かなナゲットに仕上がります。また、だしを使ったオムレツに米粉を加えると保水力が上がり、ぷるぷるとした食感が楽しめ、焼いてから時間が経ってもだしが流れ出るのを防ぐ働きもあります。

さまざまな料理に使える米粉。さらにおいしくするために米粉料理にもぜひかつお節をプラスして楽しんでみてください。いつもと違った味や食感の違いが楽しめることでしょう。

この記事の監修者

横川仁美

食と健康・美容を繋ぐ「smile I you」代表
管理栄養士×お味噌汁レシピ研究家

管理栄養士を取得後、保健指導や重症化予防、ダイエットサポート、電話相談のカウンセリング等を通して、のべ2000人の方の食のアドバイスに携わる。
現在は、コラム執筆・監修、レシピ作成、オンラインでのダイエットカウンセリングを中心に活動。目の前の人の「今」、そして「これから」を大切にした食の提案を目指している。HP: https://yokokawa-hitomi.com/