かつお節やだしのうま味がカギ!おいしく塩分を減らしませんか?

普通に食事をしているつもりでも、意外と摂りすぎている「塩分」。摂りすぎるといけない理由と、減塩するコツをご紹介します。

1.塩分の摂りすぎはなぜいけないの?

そもそも、なぜ塩分を摂りすぎるとよくないのでしょう? 食塩はナトリウムと塩素が結合してできており、塩分を多く摂ると、血液中のナトリウム濃度が高まります。すると、血液中のナトリウム濃度を元に戻そうと、血液が水分を取り込んで血管がパンパンに。血管に圧がかかり、高血圧につながります。そして、高血圧の状態をそのままにしておくと動脈硬化が進行し、脳卒中・心臓病・認知症などの危険性が高まります(注1)。小さな頃から塩分を控え、薄味に慣れておけば、こういったリスク軽減につながるでしょう。

<1日の塩分量の目安>
世界保健機関(WHO)は、5.0g/日未満を減塩目標として掲げており(注2)、日本人の食事摂取基準(成人)において塩分は、男性は7.5g/日未満、女性は6.5g/日未満と厚生労働省で定められています(注3)。現在、日本人の塩分摂取量は減少傾向にはあるものの、男性10.9g、女性9.3g(令和元年時点)と目標量より多い状況です(注5)。また、厚生労働省の「健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT」では「減塩で健康生活」として、現在の摂取量から-2gを目指そうといわれています(注4)


こういった塩分過多の原因として挙げられるのが、しょうゆ・味噌など日本人がよく使用する調味料や、漬物や練り物、ハムなどの加工食品です。塩分には保存性を保つ役割があるため重宝されていますが、塩分の摂りすぎと言う側面では問題も否めません。

2.むくみ予防にも減塩がポイント

何となく足がだるい、むくみがつらいと感じた経験はありませんか? 特に女性は、男性より筋肉量が少ないので心臓へ血液を送り出す働きが弱かったり、月経周期によるホルモンの関係で、月経前の時期には体に水分をため込みやすかったりするため、足のむくみやだるさを感じる方が多いといわれています(注6)。塩分をたくさん摂取すると、体の塩分濃度を薄めようとして体内に水分を溜め込むため、むくみの原因になってしまうのです。

妊娠中にむくみの症状を訴える場合もあり、特に、妊娠期後半は全身の循環血液量の増加やホルモンの作用から、足や顔などを指で押すと陥没してすぐに戻らないなど、むくみの症状が出やすくなります(注7)。高血圧予防にはもちろんのこと、むくみ対策としても、日頃から減塩を心がけることが大切です。

3.減塩のコツはコレ!

減塩のコツは、日頃のちょっとした心がけにあります。麺類を食べるときは、スープやつゆを全部飲まず、味付けを確認せずに卓上調味料を使うことも避けましょう(注8)
塩分を含まない酢や香辛料などの調味料のほか、柑橘類・香味野菜・だしのうま味を活用するのもおすすめです(注9)
塩分を減らすと味が薄くなり、おいしさがダウンすることがありますが、かつお節や昆布をはじめとするだしを使用することで、うま味を感じることができ、調味料を少なくしてもおいしく食べることができます。(注9)
減塩に取り組むとともに、摂りすぎた塩分を体外に排出する「カリウム」を含む、切り干し大根やドライトマトなどの野菜、バナナなどの果物も活用してみてください。すべての料理を減塩するのは、はじめのうちは難しいかもしれません。1品ずつ減塩にするなど、少しずつ変えていくことで薄味に慣れていきましょう。

4.減塩に、かつお節やだしが大活躍!

しょうゆ大さじ1には2.6g、みそ大さじ1には2.2gの塩分が含まれていますが(注9)、かつお節であれば、1パック(2.0g)あたり0.03gと塩分はごく微量です。また、かつお節をサッと混ぜこむだけなら簡単に作れますし、しょうゆの量を半分にして、かつお節を加えるといった使い方もおすすめです。
かつおだしも100mlあたり0. 1g(注10)と、塩分量がとても少ないのでぜひ活用してみましょう。一からだしを取ると少し手間がかかるので、煮出すだけで簡単なだしパックを活用するのもおすすめです。減塩のためにだしパックを選ぶときには、味付けしていないものを選びましょう。

かつお節もかつおだしも、いろんな素材の味をひとつにまとめたり、素材の風味やうま味を引き出したりするのに向いています。おいしく減塩しつつ、香りやうま味が塩味を引き立ててくれるので、ぜひ活用してみてください。

5.まとめ

風味がよくうま味のあるかつお節やだしを活用すれば、おいしく減塩できます。血圧を気にしている方もそうでない方も、年代に限らず健康に過ごすためには、塩分の摂りすぎには注意したいところ。だしなどを上手に活用して塩分をコントロールしていきましょう。

この記事の監修者

荒井名南(あらい めいな)

管理栄養士、フードスペシャリスト、健康食育ジュニアマスター、離乳食アドバイザー

保育園での給食運営や食育指導を経て、「親子のしあわせごはん」をテーマに食育やアレルギー食に関する執筆・監修、レシピ開発などを行う。