2025/10/31
れんこん活用術と長持ちさせる保存のコツを解説
1. れんこんってどんな野菜?栄養と知っておきたい豆知識
れんこんは、蓮(はす)の地下茎にあたる部分で、日本には奈良時代以降に中国から伝わったといわれています(注1)。お正月のおせち料理にも欠かせない存在で、穴が空いている形から「先の見通しが良い」と縁起物としても親しまれてきました(注1)。古くから食用とされ、行事食だけでなく日常の料理にも取り入れやすい食材です。
れんこんは、秋から冬が旬といわれています(注1)。節が少なく、まっすぐで重量感があるものが、おいしいれんこんの特徴です(注2)。また、ふっくらとしていて、表面がカサカサしておらず、切り口が変色していないものを選びましょう(注2)。

そして、れんこんは栄養も優れた食材です。田んぼの中で栽培するため、泥や水に含まれる栄養素を吸収し、蓄えながら成長するという特徴があります(注3)。
れんこんはビタミンCが豊富です(注4)。ビタミンCは熱に弱い成分ですが、れんこんにはでんぷんも含まれており、このでんぷんにビタミンCが守られているため加熱料理をしても壊れにくくなっています(注5)。このほか、ポリフェノールの一種であるタンニンも含まれています(注5)。ちなみに、れんこんの切り口が黒くなるのは、このポリフェノールが酸化することが原因です(注5)。
2. れんこんをおいしく食べるための下ごしらえの基本
れんこんを調理する際は、少し手間をかけると料理の幅が広がり、見た目や食感も良くなります。れんこんは、部位や切り方によって食感が変わるのも魅力のひとつです。料理に合わせて下ごしらえを工夫すれば、よりおいしく仕上げることができます。

・れんこんの下ごしらえの基本
1.アク抜き(注5)
れんこんをおいしく調理するために、まず知っておきたいポイントが「アク抜き」です。れんこんに含まれるポリフェノールの一種であるタンニンは消炎・収れん作用や止血効果などのメリットがある反面、変色の原因ともなる栄養素です。
切ったまま放置すると空気に触れて酸化し、切り口が茶色に変色してしまいます。この変色を抑えるには、切ったれんこんを酢水に2~3分ほどさらすのが効果的です。ただし、れんこんに含まれるビタミンCが酢水に溶け出してしまうため、長時間さらすのは避けましょう。また、ゆでる際に少量の酢を加えると、さらに色がきれいに仕上がります。
2.皮むき(注6)
れんこんは必要な長さに切ってから、ピーラーなどで皮をむくのがおすすめです。れんこんの皮は、縦の繊維にそってむくと作業がしやすくなります。
3.使用する調理器具(注6)
鉄製の鍋で調理すると、酸化によりれんこんが黒く変色してしまうため、アルミ製の鍋などを使用するのがおすすめです。
4.切り方と加熱時間(注6)
れんこんは部位や切り方、加熱時間によって食感が変わります。用途に合わせて使い分けると、料理の幅が広がります。さっと火を通すとシャキッとした食感に、さらに加熱すると、れんこんのでんぷんが糊化(こか)してもっちりとした食感になります(注5)。
シャキシャキ食感:
輪切りや繊維にそった縦切りにし、蓋を閉めずにさっと炒めましょう。歯ごたえや食感が楽しめる、きんぴらや炒め物におすすめです。
ほくほく食感:
蓋を閉めてじっくり火を通すことで、繊維質が柔らかくなります。厚めの輪切りや乱切りなどにして煮物や天ぷらにするのもおすすめです。
もちもち食感:
すりおろして具材に混ぜると、もちもちとした食感が味わえます。団子やはさみ焼き、ハンバーグのつなぎとしても使えます。
3. もうムダにしない!れんこんの賢い保存法
れんこんは傷みやすい野菜のひとつですが、保存方法を工夫すれば無駄なく使い切れます。
・冷蔵保存(注6)
カットしたれんこんの場合は、切り口が空気に触れないようにラップでぴったりと包み、野菜室(5~8℃)で保存します。丸ごと1節の場合は、皮をむかずに湿らせた新聞紙などで包み、保存袋に入れて野菜室で保存してください。3〜4日を目安に使い切りましょう。
・冷凍保存(注6)
好みの厚さにカットしたれんこんを酢水にさらしてアク抜きし、酢を入れた湯で固ゆでにします。水気をとってから保存袋に入れて冷凍庫で保存します。冷凍したれんこんは、そのまま煮物などに加え、下ごしらえの手間が省けるメリットもあります。必要な分だけ取り出して使えるので、食材を無駄なく活用できるでしょう。
4. グルタミン酸×イノシン酸を組み合わせてれんこん料理を楽しもう!
れんこんはシャキシャキとした食感や優れた栄養に加え、うま味のベースとなるグルタミン酸を含んでいます(注7)。ここに、かつお節に含まれるイノシン酸を組み合わせることで、うま味の相乗効果が生まれ、シンプルな煮物やきんぴらといった定番料理がぐっと奥深い味わいに仕上がります(注8)。

れんこんとかつお節は、日本の伝統的な食材同士で毎日の食卓に取り入れやすい組み合わせです。普段のれんこん料理にひとつまみのかつお節を添えるだけで、素材の良さを引き立てることができるでしょう。
れんこんは「栄養」「食感のバリエーション」「保存性」に優れたとても使い勝手の良い野菜です。
旬の時期には積極的に取り入れて、食卓を彩りましょう。 
                                     
                                
この記事の監修者
                                    松浦 ひとみ
(まつうら ひとみ)                                
管理栄養士・食生活アドバイザー・栄養教諭
保育園栄養士として献立作成・離乳食・アレルギー対応等を経験。現在は独立し、個別食事指導・記事監修/執筆・メニュー開発等、幅広く活動中。
参考文献
注1) 独立行政法人農畜産業振興機構「れんこんの需要動向」(独立行政法人農畜産業振興機構)
注2) 千葉県「れんこん|旬鮮図鑑」(千葉県庁)
注3) 茨城をたべよう 食と農のポータルサイト「旬のうまいもの特集」(茨城をたべよう)
注4) 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(文部科学省)
注5) 独立行政法人農畜産業振興機構「月報 野菜情報『れんこんの需要動向』」(独立行政法人農畜産業振興機構)
注6) 水郷つくば農業協同組合「れんこんの美味しい食べ方指南『れんこん調理のイロハ』」(水郷つくば農業協同組合)
注7) うま味インフォメーションセンター「れんこんと重ね豚ばらの角煮」(特定非営利活動法人うま味インフォメーションセンター)
注8) うま味インフォメーションセンター「かつお節(うま味食材リスト)」(特定非営利活動法人うま味インフォメーションセンター)
(参照:2025.10.29)
 
                                 
                                 
                                 
                     
                     
                 
                