アメリカ・中国で活躍中のヤマキ社員にインタビュー!海外のかつお節活用術とは?

日本の食卓に欠かせない「かつお節」。和食だけでなく、うま味アップのお役立ちアイテムなどとして幅広く親しまれていますが、海外ではどのように使われているのでしょうか?

鰹節屋・だし屋であるヤマキの社員に、かつお節の意外な活用法を聞く「突撃レポ」第4弾では海外で活躍中のメンバー2人にインタビュー! 担当地域のかつお節文化や海外ならではの活用術などをたっぷり教えてもらいました。

1. 今回突撃した部署はこちら!

今回突撃したのは海外で活躍する後藤さんと大友さん。後藤さんはアメリカの「Yamaki USA,Inc」、大友さんは中国の「雅媽吉(上海)商貿有限公司」に勤務しています。

「Yamaki USA,Inc」はヤマキの100%子会社として2018年にオレゴン州に設立。かつお削りぶし類商品の製造や、全米のレストラン・メーカー、アジア系スーパーマーケットなどへのヤマキ製品の販売を行なっています。

「雅媽吉(上海)商貿有限公司」は2008年にヤマキが設立した販売会社。「雅媽吉(上海)食品有限公司」で製造したかつお削りぶし類商品を中国全土に展開しています。

2.アメリカと中国におけるかつお節の知名度とは?

ー まずは現地の日本食事情やだし文化、かつお節の知名度などを聞いてみました。

後藤さん:「アメリカには約3万店の日本食レストランがあると言われています。日本食を扱うアジア系小売店も多いですね。お寿司は“Sushi”として、一般的なスーパーでも販売されており、ここ数年では“Ramen”が日本食の裾野を確実に広げています。
こちらにもStockやBrothというだしに似た商品があり、原料には鶏や牛、野菜を使うものが多いですね。主にスープや煮込料理に使われています。
うま味成分は“Umami”として広く浸透していますが、かつお節の知名度はまだまだ低いのが現状。かつお節の知名度をアップさせることも、私の重要なミッションだと思っています」

大友さん:「中国にある日本食レストラン数は約6万店にのぼり、世界一と言われていますね。近年ではたこ焼きやおでんがおやつの定番となっています。おでんは中国語で『关东煮(グアンドンジュー)』と呼ばれており、日本語でいうと『関東煮』の意味で、コンビニで販売されるほどの人気ぶりです。
中国にもだし文化はあり、代表格は鶏だしを粉末にした『鶏精(ヂィーヂィン)』。さらに、牛を使った肉系、エビなどの海鮮系、キノコ系、野菜系など多様なだしがあり、中国各地域で親しまれています。
かつお節はたこ焼きのトッピングとして認知されているものの、『木鱼花(ムーユィーファー:花かつおの中国名)』の知名度はまだまだ低いですね」

3.担当の地域でのかつお節の使われ方

ー 現地の人々はどんな料理にかつお節を使っているのでしょうか? 担当地域での活用法や、海外では定番となりつつある”Umami”という言葉を聞くシーンなどを教えてもらいました。

後藤さん:「アメリカでは、日本食レストランで食べた料理を自宅で再現したいという人がかつお節を購入することが多いです。簡単なトッピングだけでなく、だし取りにトライされる方もいます。カジュアルな日本食レストランでは揚げだし豆腐などの揚げ物にトッピングされ、本格的な和食店や麺専門店では、だし取りに用いられています。最近ではフレンチ料理のシェフに愛用されていて、厚さや鮮度など細部までこだわる方も多いですね。
食品業界でUmamiは浸透しており、食に興味のある一般の人にも徐々に浸透し始めました。ちなみに日本で人気のハンバーガー店『Umami burger』は2009年にオープンしたLos Angeles店が発祥なんですよ」

大友さん:「中国は、家庭では料理のトッピングとして、レストランではだし取りとしてかつお節を使っていますね。Umamiという言葉を聞くことはほぼありませんが、『鲜(シィェン)』といううま味を表すワードは浸透しています。ちなみに『鲜』は、日本でいう昆布などに含まれるMSG(グルタミン酸ナトリウム)由来のうま味でも使うので、料理でうま味が効いている時は『很鲜(ヘン シィェン) 』と呼ぶことが多いです」

ー アメリカでも中国でも、かつお節はトッピングとしての活用が定番であることがわかりました。一方で、Umamiに関しては知名度にギャップがあるのが新たな発見です。
さらにお仕事でかつお節やだし商品を提案するにあたって驚いたこと、今後人気が出そうな商品などを伺ってみます。

後藤さん:「かつお節が料理の上で踊っている様子を見て、面白がって動画を取り始める人や生き物と勘違いして数メートル離れる人、同じように踊り始める人など、アメリカらしいユニークな反応があちこちで見られました。実際に食べてもらったところ、“スモーキー”な香りに注目される方が多いのが驚きでしたね。
アメリカでは魚のニオイに苦手意識がある方が多いのですが、かつお節のスモーキーな香りで払拭できるのではないかと思っています。“魚だけど、魚臭くない”という点は、アピールポイントのひとつになるかもしれません」

大友さん:「うどんチェーン店では『かけ(かつおだし)』『豚骨』『トマト』『酸辣』が基本メニューとなっているものの、実際の販売構成比では『豚骨』と『トマト』が約7割を占め、『かけ』は1割にも届いていないことに驚きました。
中国では健康志向の高まりから、サラダなど野菜中心のメニューがレストランやコンビニで増えています。“野菜料理にもかつお節!”と、トッピング用途としてかつお節をアピールしていきたいです」

4.お気に入りのかつお節活用術

ー 日本食スーパーがあるとはいえど、日本在住時よりは日本食材が少々手に入りにくい海外暮らし。かつお節の食べ方に変化はあったのでしょうか? またかつお節との相性が良い地元グルメや、お気に入りのかつお節料理を聞いてみました。

後藤さん:「アメリカは物価が高いため、かつお節は今まで以上に貴重品です。最近ではだし取りした後の昆布とかつお節で佃煮を作るなど、すべて食べきっています。
こちらでは雑穀入りパンの種類が豊富なこともあり、『かつマヨトースト』をよく楽しんでいます。香ばしい雑穀の香りと相性抜群です。また、フライドポテトにかつお節とお好みソースをかける『お好みポテト』は、こちらのRamen店で食べて以来お気に入りの一品です。子どもが喜んでくれるので家族で好きなレシピのひとつです。
好きなかつお節料理はやはり王道の味噌汁です。アメリカの食事もおいしいですが、疲れてくると身体が味噌汁を求めるようになりますね。昆布とかつお節の合わせだしで取っただしの香りと味わいが何よりの癒しです」

大友さん:「中国に来てからはかつおだしが一層恋しくなり、かつお節と味噌で仕立てる簡単スープ『かちゅー湯』をよく飲むようになりました。飲み会明けの「かちゅー湯」は最高に身体に染みます!
かつお節は中国料理の火鍋によく合います。こちらの火鍋は数種類あるつけだれを自分で調整して食べるスタイルで、私はその中にかつお節を入れて楽しむのが好きです。かつお節のうま味が加わるうえ、火鍋の辛さと脂っこさを抑えられる気がします。
自宅では味噌汁や白だしスープなどの汁物に、かつお節を多めに入れて飲んでます。やはりかつおだしは最高に落ち着きますね」

まとめ

アメリカ、中国ともに数多くの日本食レストランがあり、現地の人々から親しまれている日本食。お寿司やラーメンだけでなく、たこ焼きなどカジュアルフードも人気とは驚きです。
またお二方とも、日本を離れることでかつおだしが恋しくなったというお話はとても印象的でした。
さらにトーストやフライドポテト、火鍋とかつお節の相性が良いというエピソードは目から鱗!日本でもぜひ試してみたいテクニックです。

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