料理の味も楽しみも広がる! かつお節の種類と選び方

「かつお節」は魚のカツオをいぶして乾燥させたもので、かつお節には様々な削り方があり、削り方によって、食感もおすすめの使い方も異なります。
スーパーのかつお節売り場で「何を手に取ったら良いか分からない」というお悩みも解決してくれる、かつお節の種類と特徴、おすすめの使い方をご紹介します。

1.かつお節には種類がある⁉︎

かつお節は、製造段階によって呼び方が変わることはご存知でしたか?

商品パッケージの原材料名を見ると、「かつおのふし」「かつおのかれぶし」の2種類の表記があります。「かつおのふし」は、ゆでたカツオを焙乾(いぶして水分をとばすこと)した「荒節」のこと(写真左)。煙成分(タール)に覆われ、黒くゴツゴツとしているのが特徴です。煙による薫香があり、適度な酸味のある味わい深いだしがとれます。

荒節を研磨し、カビ付けと乾燥を繰り返して仕上げたものは「かつおのかれぶし(枯節)」。焙乾による香りがやわらぎ、上品な風味があります(写真右)。まろやかなだしをとりたい時には、枯節がおすすめです。

ぜひ商品パッケージの裏面を見てみてください。今日の料理や気分に応じてかつお節を使い分けたら、料理の幅がより一層広がることでしょう。

2.だし取りやトッピングなど、使い勝手抜群の「薄削り」

厚さ0.2mm以下のかつお節は「薄削り」と呼ばれ、短時間でだしがよく出ます。

スーパーでよく見かける「花かつお」は荒節を花びらのように薄削りの薄さに削ったものです。柔らかな食感で、だし取りだけでなく、お好み焼きや麺類など、料理のトッピングにも向いています。

3.濃いだしがとれる「厚削り」

厚さ0.2mmを超えるかつお節は「厚削り」と呼ばれ、1mmほどのものもあり、商品によって厚さはさまざまです。

厚削りはだしをとる時にじっくり煮出す必要があるため、花かつおと比べてだし取りに時間がかかりますが、その分、かつお節の風味が強く感じられ、濃厚でコクのあるだしをとることができます。関東風のそばやうどんのかけつゆなど、味つけがしっかりとしたものによく使われます。味噌汁のだしに使えば、花かつおのだしとはまた違った深みのある味わいが楽しめます。

汁ものや麺類にだしと具を兼ねて使うと食べごたえもあるので、そのまま食べるのもおすすめです。また、レンジでかるく温めてうま味を引き出せばパリパリの食感になり、おやつやおつまみにぴったりな〈かつおチップ〉にもなります。

4.トッピングに使うなら「破砕」「マイルド」

かつお節は料理のトッピングにもよく使われます。トッピングにおすすめなのが「破砕(はさい)」と「マイルド(横削り)」です。

破砕は薄く削ったかつお節を更に細かく砕いたものです。花かつおや破砕はかつお節の繊維に対して平行に削っている「縦削り」のかつお節。コシがあり、ふんわりと盛ることができます。かつお節の存在感を出せるので、お好み焼きやたこ焼き、炒めものなど、しっかりとした味の料理に合います。また、料理に混ぜてもほどよく食感を残すことができ、おにぎりの具やふりかけ、焼きそばと相性抜群です。

一方、マイルドはかつお節の繊維に対して垂直に削っている「横削り」のかつお節。口溶けがよく、食感がまろやかです。薄く細かいため、料理の仕上げにふりかけると、華やかな仕上がりになり、調味料と合わせてもダマになりにくいのも特徴です。冷奴やお浸し、あつあつの白いご飯など、シンプルな料理にのせると、素材の持ち味とだしのうま味が、口いっぱいに広がります。

料理をより上品に仕上げたいときは、「血合い抜き」タイプがおすすめです。血合いとは背骨周辺の暗赤色をした血管が多く通っている部分のことをいい、取り除くことで、色が美しく、すっきりとした味わいのかつお節になります。

5.料理の幅がさらに広がる「糸削り」「粉末」

糸のように細く削ったかつお節を「糸削り」と呼びます。少量でもふわっとボリュームが出て、かけた後の料理の見た目が華やかに仕上がります。正月料理の定番のかずのこやお雑煮などの行事食、季節の野菜を使ったシンプルな煮物などに使ってみてください。

かつお節を粉末状にした「粉末(だし粉)」は、料理の隠し味にも、味わいの主役にもなる優れもの。うま味が出やすく、かつお節の味がしっかりと感じられ、ほかの素材とのなじみがよいのが特徴です。お好み焼きやたこ焼きの生地のほか、ハンバーグや卵焼きに混ぜたり、釜揚げうどんや炒めものなどに調味料として使ったりと、オールマイティに活躍します。そのほか、味噌汁に少し加えると、だしの風味が強く出てぐっとおいしくなり、かつお節の栄養を丸ごととれて一石二鳥です。

スーパーに行くと、かつお節売り場にはさまざまな種類の商品が並び、何を選べば良いか迷ってしまいますが、削り方による味わいの特徴を知っておくと、より料理のおいしさを引き出すことができます。

作りたい料理にぴったりなものやお好みの味を、ぜひみつけてください。