かつお節~受け継がれる”おいしい”の原点~

11月24日は鰹節の日。い(1)い(1)ふ(2)し(4)の語呂合わせから、鰹節屋であるヤマキが、もっと多くの人にかつお節の上手な使い方や、だしの取り方などを知ってもらうためにつくった記念日です。知って楽しいかつお節のことを、詳しくお伝えします!

1.古事記にも登場!?日本生まれのかつお節

かつお節の起源は古く、奈良時代にさかのぼります。かつお節は日本最古の歴史書「古事記」に「堅魚(かたうお)」として登場しています。カツオは身がやわらかくて傷みやすいため、当時は堅くなるまで干してから食べられていたといわれており、現在食べられているかつお節よりもやわらかいものでした。当時は輸送手段も発達していなく、魚も新鮮なもの以外は、干して保存していたようです。

現代の形の「かつお節」が誕生したのは約4世紀前の江戸時代ともいわれています。紀州の漁師によっていぶして水分を飛ばす「焙乾(ばいかん)」と呼ばれる技術が考案され、静菌作用もあるこの技術によって、かつお節の保存性を高めることに成功しました。

のちに土佐の与市という鰹節職人によりかつお節の作り方が各地へ広まっていき、現在のかつお節のかたちが作られていきました。

かつお節は日本人が時代と共に「干す」保存方法や焙乾の技術から生み出した、日本を代表する食材です。今では技術の発展が後押しし、世界でもっとも堅い発酵食品ともいわれています。実は歴史がとても深い食べ物なんですね。

2.かつお節のおいしさは日本で発見!

かつお節のおいしさの秘密は「うま味」。かつお節には、三大うま味成分の1つである「イノシン酸」が豊富に含まれています。

イノシン酸は、1913年に日本人の学者によって発見されました。イノシン酸と同じく、三大うま味成分と言われている昆布に含まれるグルタミン酸は1908年に、きのこなどに含まれるグアニル酸は1957年に、どちらも日本人によって発見されています。

1960年には特定のうま味成分を組み合わせると、うま味が飛躍的に強くなる「うま味の相乗効果(うま味の掛け合わせ)」が発見されました。かつお節に含まれるイノシン酸は、グルタミン酸を豊富に含む食材と合わせると、よりうま味を強く感じられることがわかりました。

私たちは毎日の食事でもだしのおいしさや和食の素晴らしさを感じていましたが、その知識は日本人のうま味の発見や、技術によって長い歴史を持つ日本の食文化へと受け継がれていたんですね。

3.かつお節の製法も時代に合わせて進化!

古くから愛されてきたかつお節は、その製造技術も発展してきました。鰹節屋として日本の食卓に親しまれてきたヤマキ株式会社では、かつお節のうま味成分(イノシン酸)をキープする氷温熟成製法を取り入れています。

⾷品はモノが凍結し始めるまでの凍りそうで凍らない、凍る直前の温度領域(※氷温)を利用し、貯蔵や加⼯を⾏うと、おいしさが⾼まることが知られています。その技術を用いた製法が、「氷温熟成」。⾁や野菜、コーヒー⾖など、さまざまな⾷材に⽤いられている技術です。

かつお節で氷温熟成を行っているのは、ヤマキだけ。鰹節屋のヤマキにしかつくれない「氷熟®」というかつお節のシリーズもあるんですよ。

4.勝負事にはかつお節!?ゲン担ぎにしたい食材

かつお節はおいしさだけじゃなく、ゲン担ぎにも使われている食材でもあります。漢字で「勝男武士」と書くため、語呂の良さから、戦国時代の武士たちに好まれていました。戦の場に持って行ったり、勝負時にゲン担ぎとして持って行ったりする武士も多かったようです。

またかつお節は1匹のカツオの半身から雄節と雌節の2種類の節を取って作っています。この雄節と雌節がぴたりと合うことから、夫婦の象徴として引出物にも好まれます。

ほかにも、雄節と雌節をあわせた姿が長寿のシンボルである亀に似ているといった説やかつお節を削った肌に残る表面の黒い皮や残る縞(しま)を、松・竹・梅に見立てたという説も。

現代の世の中では、結婚式の引出物にはもちろん、運動会や進学受験、就職活動やここぞといったときのお仕事の場、スポーツでのゲン担ぎとして活躍しています。勝負事の日には、ぜひかつお節やかつおだしを使ったゲン担ぎ料理を試してみてくださいね。

普段何気なく食べているかつお節のことを改めて知ると、和食の奥ゆかしさや研究・技術の発展のおかげで、私たちの食卓に毎日おいしいご飯が並んでいることが感じられますね。
鰹節の日はぜひかつお節をお手に取って、そのおいしさを感じてみてください。

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