秋の味覚「栗」を堪能!むき方・調理・保存のコツと活用方法を紹介

栗は、秋の味覚の代表的な存在で、スイーツから料理まで幅広く楽しめる食材です。皮がむきにくそうというイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、むき方や保存のコツを知れば、難しいことはありません。品種ごとの特徴やレシピも紹介しているので、ぜひ栗料理に挑戦してみてください。

1. 旬を味わう!日本の栗の魅力とおすすめ品種

秋の訪れを感じさせてくれる食材「栗」は、古くから日本人に親しまれ、秋の味覚を代表する存在です(注1)。主な産地は茨城県・熊本県・愛媛県などで(注2)、9~10月が収穫の最盛期です(注1)。日本の栗は、海外のものと比べて粒が大きく、水分を多く含んでいるのが特徴です(注1)。自然な甘みが広がり、ホクホクとした食感を味わえます(注1)

代表的な品種と産地は以下です。

丹沢(たんざわ)(沖縄を除くほとんどの都道府県):淡白な味わいで、皮がむきやすく、スイーツから料理まで幅広く活用されやすい(注1,4)

筑波(つくば)(日本全国):日本で最も栽培されている品種のひとつであり、豊かな甘みと香りが強いのが特徴で、さまざまな料理に活用しやすい(注1)

銀寄(ぎんよせ)(大阪府など関西地方):実が大きめで、皮がむきやすいため加工しやすく、甘みと風味が豊かなため和菓子によく使用される(注1)

2. 失敗しない!栗のむき方・保存テクニック

旬の栗をもっとおいしく楽しむために、失敗しない栗のむき方と保存法をご紹介します。

栗のむき方(注3)
料理やお菓子作りなどに使うときは、以下の手順で皮をむきましょう。まず外側の鬼皮をとり、そのあと内側の渋皮をむきます。

●鬼皮のむき方
1. 生栗を熱湯に10分つける
2. 包丁で座(栗の底の部分)から頭に向けて切り込みを入れる 
3. 手で鬼皮をむく

●渋皮のむき方
1. 沸騰した湯に鬼皮をむいた栗を入れる
2. 1~2分茹でて、火を止めて鍋から出す
3. 手で触れられる程度まで温度が下がるのを待つ
4. 手で渋皮をむく

一度冷凍した栗を熱湯につけると、鬼皮が柔らかくなるため、渋皮もはがれやすくなります。時間がある場合は最初に栗を冷凍しておくのもおすすめです(注5)

栗の保存方法(注3,6)
栗は傷みやすいので、できるだけスーパーなどで購入してきたその日のうちに食べるのが理想です。ただし、すぐに食べきれない場合は適切な方法でしっかりと保存しましょう。生栗とむき栗の保存方法をそれぞれご紹介します。

●生栗(皮付き)の冷蔵保存
ポリエチレン袋に入れて、口を縛らずにチルド室(0度付近)で保存し、できるだけ早めに使い切る。
保存期間:1~2週間程度

●むき栗の冷凍保存
むき栗を固茹でして(中火で約20分)、流水にさらして熱をとり、ポリエチレン袋に入れて空気を抜き、冷凍庫で保存する。使用するときは解凍せずそのまま活用する。
保存期間:約半年程度

以上のポイントをおさえて栗を正しく保存し、最後までおいしく食べましょう。

3. 定番からアレンジまで!栗を楽しむ料理

栗は、茹で方や蒸し方を工夫することで、さまざまな料理に活用できます。茹でた栗は柔らかく、しっとりした食感なので、栗きんとんなどの料理に向いています(注1,7)。一方、蒸し栗は水っぽくならず、ホクホクとした食感が特徴なので、栗おこわなど素材の味を活かした料理に最適です(注1,7)。まずは栗の基本の茹で方をご紹介します。

基本の茹で方(注3)
1. 沸騰した湯に生栗を入れる
2. 中火で40~50分茹でる

栗は、このように茹で栗としてそのまま味わうこともできますが、むき栗や固茹でした栗を活用する料理も多くあります(注1)。なかでも、栗ご飯は栗本来の味を楽しめる定番料理のひとつです。
炊き込む際にかつおだしを加えると、素材のうま味が引き立ち、全体の味がまとまりやすくなるため、旬の栗をよりおいしく楽しむことができます。
栗ご飯や煮物など和食のイメージが強い「栗」ですが、ほんのりとした甘みとホクホクした食感は和食以外の組み合わせとも相性抜群です。栗の新しい楽しみ方をご紹介します。

煮物アレンジ(注8)
・鶏肉と栗のブランデー煮
栗と鶏肉をブランデーで香り高く煮込んだ、秋らしい一品です。玉ねぎやベーコンのコクが加わり、洋風ならではの栗の味わいを楽しめます。仕上げに散らすパセリによって、見た目も華やかで食卓を彩ります。

炒め物アレンジ(注9)
・栗と鶏肉のガーリック炒め
栗の自然な甘みとしっとり感がアクセントとなり鶏肉のコクを引き立てる一品です。材料は生栗や鶏肉を中心にシンプルながら、にんにくの香ばしさが食欲をそそるアレンジレシピです。

サラダアレンジ(注10)
・焼き栗と温野菜のサラダ
朝食やランチ、おもてなしの前菜にもぴったりなサラダレシピです。ホクホクの栗の実とパリッと香ばしい渋皮の食感が楽しめるのが魅力。温野菜と栗のやさしい甘さが相性抜群です。

スープアレンジ(注11)
・栗のポタージュ
栗の自然な甘さとクリーミーな舌触りが楽しめる、秋ならではのスープアレンジです。玉ねぎの甘みとバターの香りが加わり、ご飯でほんのりとろみをつけることで、なめらかでコクのあるスープに仕上がります。

同じ栗でも品種によって甘みや香り、調理のしやすさが異なるため、料理や用途に応じて選んでみてください。
旬の時期にそれぞれの特徴を活かした食べ方で、秋ならではの豊かな食体験を楽しみましょう。

この記事の監修者

松浦 ひとみ
(まつうら ひとみ)

管理栄養士・食生活アドバイザー・栄養教諭

育園栄養士として献立作成・離乳食・アレルギー対応等を経験。現在は独立し、個別食事指導・記事監修/執筆・メニュー開発等、幅広く活動中。