花見(はなみ)とは、日本の古くから続く春の行事の一つで、主に桜の花を観賞し、春の訪れを楽しむ行事です。
花見の起源は奈良時代の貴族が中国から伝来した梅を観賞することから始まったと言われています。
それが平安時代になると梅に代わって桜の花見が主流になっていきます。
きっかけは嵯峨天皇が催した「花宴の節(せち)」で、831年からは宮中で天皇主催の定例行事として取り入れられており、その様子は「源氏物語」の「花宴(はなのえん)」でも描かれています。
花見の対象が梅から桜へ変わっていった様子は当時の貴族たちが詠んだ和歌の数からもうかがい知ることができます。
時代を経るに従って、花見は徐々に貴族以外の人々にも浸透していきます。
その様子は吉田兼好の「徒然草」にも描かれており、鎌倉時代末期から室町時代に地方でも
花見が行われていたことがわかります。
この時代以降の代表的な花見として豊臣秀吉が催した吉野の花見(1594)や醍醐の花見(1598)があります。
花見の風習が庶民の間で一般的になったのは江戸時代とされており、徳川吉宗が行った
「享保の改革」の一環で隅田川や飛鳥山、御殿山に桜を植樹したことがきっかけとされています。
吉宗は桜を植樹した際、花見客用の飲食店を作らせるなどして庶民の花見を奨励したそうです。
こうして花見は庶民の間に根付いていき、現在の花見へとつながっていきます。
花見の席では花見弁当を愉しむのが伝統とされており、
花見の席で飲むお酒を花見酒と言われています。
花見と言えば、夜桜の下でおいしい花見弁当を食べながらお酒を飲んで皆で歓談することを思い浮かべる人も多いでしょう。
最近ではお花見の時期になると様々な屋台が並び、まるでお祭りのような雰囲気もあります。
こうした屋台のおかげで花見弁当を持たずに花見をする人が多くなってきていると思いますが、原点に帰って花見弁当を持参してみませんか?
江戸時代の人々はいろんな花見弁当を持参してお花見を楽しんだようですよ。
では、どんな花見弁当を持ってでかけたのでしょう。
落語の「長屋の花見」ではお酒は番茶でかまぼこは大根の漬物、またはおこげ、卵焼きはたくあんで代用するくだりがあります。
一方、1801年に書かれた「料理早指南」では豪華な花見の重詰の作り方が記されているそう。気になる中身は、次のようなものでした。
一の重 かすてら玉子、わたかまぼこ(アワビの青わた入りかまぼこ)、わか鮎色付焼、むつの子、早竹の子旨煮、早わらび、打ぎんなん、長ひじき、春がすみ(寄物)
二の重 蒸しかれい、桜鯛、干大根、甘露梅
三の重 ひらめとさよりの刺身に、しらがうどとわかめを添え、赤酢みそを敷く
四の重 小倉野きんとん、紅梅餅、薄皮餅、かるかん
割籠(わりご) 焼飯(焼むすび)とよめな、つくし、かや小口の漬物
※割籠は中に仕切りのある木製の弁当箱のこと
現代の人から見ても、とても豪華な内容ですよね。
これほど贅沢な弁当を持参できた人は限られた裕福な人であったでしょうが、庶民もこの日のためにとお手製の弁当や折箱の寿司を持って花見に出かけたそうです。
お花見の時期はぜひ、手作りの花見弁当を持参してみてください。きっと特別なお花見となることでしょう。
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