海と人がつくり出す、削り節の産地を訪ねて。

「天草市牛深(うしぶか)町」では、
宗田鰹節・さば節・むろあじ節・うるめいわし煮干が、
「長崎市磯道町」ではあご煮干が作られています。
豊かな自然に育まれた魚を、職人たちの熟練の技で
節、煮干に作り上げるストーリーをご紹介します。

撮影・取材協力・写真提供:株式会社丸西、有限会社池井水産

九州の地図:長崎市磯道、天草市牛深

撮影・取材協力・写真提供:株式会社丸西、有限会社池井水産

01 仕入れ

頭から尾まで。魚を丸ごと使う煮干は鮮度が良いうちに仕上げることが最も重要。しかも、原料となるウルメイワシなどは傷みやすいため、「節」になる魚以上に繊細なのです。もちろん、職人による目利きも欠かせません。仕入れで見るポイントは脂のノリ。これが多いと時間とともにどんどん酸化が進み、だし本来の風味や香りを損ねる原因に。だからこそ、目にハリがあって新鮮なもの、脂が少ないものを厳選しなければなりません。

  • 鮮度が命

02 洗浄・蒸篭取り

水揚げから加工までの約2時間が勝負。 地下から汲み上げた塩水できれいに洗ったら、その中にサッと蒸篭を差し込み、サッと引き上げます。一面に並んだ魚を、1つ1つ重なりがないようサッと揃えたら、次の蒸篭を差し込んで。この一連の動きをテンポよく繰り返していきます。鮮度を落とさないよう急ぎながらも、すべて手作業で丁寧に。このちょっとしたひと手間で、仕上がりが変わることを職人たちが熟知しているからです。

  • シャワー

03 煮熟

グツグツ、ポコポコ。冷たい水から一転、今度は95℃前後に沸かした地下から汲み上げた塩水入りの釜の中へ。魚のサイズを見極めながら、どんなに長くても約20分。煮干は煮上げる時間もスピーディーなのです。しかし、急げばいいというものではありません。時間が短いと生煮えが起こり、色つやがパッとしなかったり。逆に長すぎても、お腹が裂けてしまったり。長年磨いてきた職人の経験とカンを頼りに、時間を見極めています。

  • グツグツポコポコ

04 放冷・乾燥

釜揚げしたばかりの身はアツアツ。風通しのいい場所で粗熱を取りながら、表面の水分を蒸発させて身をキュッと引き締めます。さらに専用の乾燥機に入れて、裏表をひっくり返したり、蒸篭ごと場所を入れ替えたり。乾燥具合が均一になるよう、手で触って確かめながら3日ほど乾燥させます。季節によっては天日干しすることも。手をかけ、目をかけ、心をかけて。経験豊富な職人が一切手抜きせず、最高の状態まで引き上げます。

05 選別・出荷

ベテランの職人が厳しい目を光らせ、完成した煮干を1本ずつチェック。キラキラと青みがかり、美しい銀色に輝いた煮干は新鮮なうちに加工された証拠です。黄色っぽく変色しているものの原因は脂焼け。削ったときに粉になってしまったり、だしの風味を損ねてしまうため、一級品にはなれません。こうして激戦をくぐりぬけた上質な煮干たちは、身がギリギリ凍らない-6℃の冷凍庫の中で出荷のときを待ちます。

  • 一本一本目を光らせます

つくり手の情熱~煮干づくり編~

煮干づくりは職人の腕とスピードが勝負。鮮度を保ちながら、一連の工程を時間通りに行わなければなりません。「節」になる魚に比べると1匹1匹のサイズが小さく、バラつきもあるため、その時々の状態を見極めながら最適な加工になるよう調整します。決してマニュアル化できない、職人の経験とカンが試される手仕事です。

節づくり編~宗田鰹節・さば節・むろあじ節~

混合厚削り

「さば節」と「うるめいわし煮干」のブレンド

混合厚削り めんのかけつゆや味噌汁に合うように、コクがあり濃厚な「さば節」と、甘みがある「うるめいわし煮干」をブレンドしました。国内産の節、煮干を使用しています。“厚削り”タイプなので、濃いめのだしがとれます。

混合厚削り