土用の丑とは、土用の入りになって最初の丑の日のことをいいます。土用とは土旺用事(どおうようじ)の略で中国古代の思想、陰陽五行説に基づいて割り当てられた期間の一つです。陰陽五行説では春・夏・秋・冬を木・火・金・水とし、土にあたる期間を季節の終わりの18日間にあてはめて立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を土用と言うそうです。
一般的に知られているのが立秋前の18日間で夏土用といいます。毎年7月19日~8月7日辺りが夏土用です。
夏土用の時期はカビや虫の害から衣類や書物を守るため陰干しなどをしました。
これを土用の虫干しといいます。また、この期間は雑菌の繁殖を抑えるため、田んぼに水を入れず、
土をひび割れた状態にするそう。こうすることで根がしっかりと張るようになるとか。
梅干しなどの天日干しもこの時期に行います。
土用の期間には土をつかさどる土公神(どくしん・どくじん)という神様が支配すると
言われており、土を動かすことが禁じられています。現在でも家などを建築する際、
土を掘り起こすような基礎工事は土用の期間をはずすことが多いそう。
夏の土用は1年の中で最も暑さが厳しいことから夏バテや疲労回復に
効き目のある食べ物や薬を摂ることが推奨されました。
また、昔からこの日に「う」のつく食べ物を食べると病気にならないと
言われていたそう。梅干し、瓜、うどん、うなぎなどがその代表です。
土用の丑の日にうなぎを食べる風習は江戸時代ごろから始まったとされています。当時の蘭学者「平賀源内」が知人のうなぎ屋のために「本日、土用の丑の日」というキャッチコピーをつけたことから始まったとされています。同じような説で、大田蜀山人が知人のうなぎ屋に頼まれて「土用の丑の日にうなぎを食べたら病気にならない」という内容の歌を作って宣伝したというものもあります。江戸時代の人々はこうしたキャッチコピーに引かれてうなぎを食べるようになったんですね。しかし、単なる宣伝ではなく、ちゃんとした根拠も存在しています。「万葉集」で大伴家持が詠んだ『石麻呂(いしまろ)に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻(むなぎ)とり食(め)せ』<大伴家持『万葉集』巻16-3853>という和歌があります。これは、「うなぎを食べて健康を維持しよう」という意味の和歌で、土用の丑の日の頃をさした歌になっているというのです。こうした先人の歌をもとにして平賀源内や大田蜀山人はキャッチコピーを考えたのかもしれません。元々この日に「う」のつく食べ物を食べると良いという言い伝えがあるので「うなぎ」はうってつけの食材だったのでしょう。実際にうなぎはビタミンA・B1・B2・D・Eやミネラル、DHA、EPAなどの栄養が含まれています。季節の変わり目で体調が変化しやすい時期に精をつけるのにぴったりですね。
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