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「石垣の塩®」の原点を知る

茂みの先に広がる、名蔵の雄大な海

現地に到着し、早速ひとくち舐めてみた塩の味に、みなぎる海の生命力を感じた取材班。「石垣の塩®は、決して私たちが作っているわけじゃない。海が育んでくれた恵みを、分けていただいているだけなんです。だからまずは、この海を観てもらわなきゃね」。
工場長の安富さんがナビゲートしてくれた工房案内は、まず名蔵湾の砂浜に立つことから始まりました。工房の裏手、鬱蒼とした茂みの中にある細い抜け道。葉っぱに肌をなでられながらここを一気に通り抜けると、目の前に広がる景色に言葉を失います。

母なる海のパワーが育む塩

安富さんが”僕たちの原点”と語る名蔵湾は、ラムサール条約の国際自然保護区に登録された干潟「名蔵アンパル」を擁する雄大な湾。新月のこの日は潮が大きく引いていました。石垣の塩の原料は、工房からこの湾の沖合1.5kmの地点まで引いた、長い手作りパイプで取る海水のみ。取水先の水深20mの海には、無数の珊瑚礁が揺らめきます。
「熱帯魚にエイ、サメ、浜辺にはヤシガニ。冬になると渡り鳥も訪れる。この湾は生物が豊富です。石垣島は毎年猛烈な台風に襲われ、パイプが壊れることもしょっちゅう。たまにタコが入り込んでいたりね(笑)。僕らはその度に、自ら海に潜ってパイプを直します」どんなに立派な機械を導入したところで、この自然のパワーには適わない。木々や設備をなぎ倒していく台風さえも受け流し、過度な機械化はしない。それが、自然のままの海塩=「石垣の塩®」を作っていく、唯一の方法だと安富さんは言います。

水平線に沈む夕日を見届け、天の川を迎える夜

石垣近海の海は、”八重山ブルー”とも形容されます。時間や気候によって変化する七色の海は、夕方になると神秘的なグラデーションに。水平線に太陽が沈みきるころ、浜辺の林の中からはフクロウの鳴き声も聞こえてきます。「今日は新月で空が暗いから、きっと天の川が見えますよ」
地球上の全天にある星座は88個。石垣では1年をかけてそのうち84個が観測できます。「今日は新月だから海が穏やかだけど、満月の時もすごいよ。初夏の頃の満月の夜は、珊瑚の産卵で海がピンク色に光るんだ」そう教えてくれたのは社長の東郷さん。石垣島の天文台は、世界的にも有数の天体観測スポット。この場所では別段珍しくもないであろう流れ星に、大きな歓声を上げる工房勤めの島人たち。

そして工場長の安富さんが静かに語り出しました。「島の自然が見せる表情は日々変わるから、僕らはまったく飽きることがない。それだけ島で暮らす人生は濃いんです。この景色と同じように、海が育む塩の味だって日々変わります。でも僕たちはそこに決して手を加えず、自然のままの味を届けていきたい」
この恵みを数値化、平均化することに、一体何の意味があるだろうか。そう思わずにはいられなかった名蔵湾の景色。雄大な自然の力に、都会の生活で鈍っていた”五感”を少しずつ呼び覚まされていくような、そんな新月の夜でした。